世界の株式市場は昨年12月に大幅下落となった後、2019年1月には大きくリバウンドした。特に、株価下落の震源地となったアメリカ株市場は、12月に10%前後下落したが、1月にはその下落分の約8割を取り戻し、その後2月に入っても上昇基調は崩れず、ほぼ2カ月ぶりの水準まで戻っている(2月8日時点)。
アメリカの中央銀行は政策姿勢を中立的に修正した
1月14日のコラム「アメリカの株式市場は再び上昇しそうだ」では、同国株市場の急落の主因が、FRB(米連邦準備制度理事会)の市場との対話の失敗にあると結論づけた。
そのうえで、株価急落に背中を押される格好で、ジェローム・パウエル議長などが政策姿勢を変更しつつあることに関して、(経緯がどうであれ)FRBの政策変更は望ましく、2019年のアメリカ株の反発をもたらす可能性を指摘した。12月の株価急落分を、わずか1カ月で大部分取り戻したピッチの早さは予想外だったが、FRBの政策変更が株高をもたらすとの見方は、間違いではなかったようである。
実際に、1月末のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRBはこれまで失業率が低いため将来のインフレに備え「利上げ継続」という姿勢から、「利上げ・利下げ」いずれの方向にも動きうる、と政策の方向性を中立にはっきり修正した。
将来のインフレ上昇リスク、海外経済減速がインフレを低下させるリスク、双方がほぼ同等の認識になったとみられる。現在の状況が変わらなければ「様子見」(声明文ではpatientという言葉を使った)をしながら、FRBが政策金利の据え置きを続けることが、より明確になった。
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