日本の生産性向上を妨げている原因は何か

このままでは再び停滞の方向に向かう懸念

「生産性」は、多くの人の身近な感覚に通じるため、さまざまな観点から議論されるので注目されやすい(写真:kikuo/PIXTA)

日本人の生産性の低さに対する問題意識が再び高まっているようにみえる。

「日本経済全体の生産性」はどう測るのか?

「生産性」は、多くの人の身近な感覚に通じるため、さまざまな観点から議論されるので注目されやすい。例えば、経営者や技術者の立場からすると、技術革新や生産プロセス改善などで、製品やサービスを効率的・短時間で供給することで、生産性を高めることができる。

また企業などで働くサラリーマンの立場では、硬直的な組織・人事体系、昔からの慣習、残業を強いられる時間管理の不徹底、目的が明確ではない会議等々を改善することで生産性が高まると感じる人は多いだろう。

働く環境は人それぞれとしても、万人に完璧な職場環境を整えることは難しい。生産性を阻害する問題をまったく感じないサラリーマンはかなりの少数派で、それゆえ実感され易い「生産性の低さ」は多くの人々にとって身近に感じられるのだろう。こうした生産性は、モノ・サービスを作り出す「供給側の要因」(会社組織、工場、技術など)によって決まる。これが多くの人が想定する「生産性」であろう。

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一方、日本経済全体の生産性は、労働生産性(実質GDP/就業者数、または総労働時間)によって計測される。就業者1人当たり(または時間当たり)生み出される経済的な付加価値(GDP)である。このため、生産性の伸びは、経済成長で変動する実質GDPに連動して動く側面が大きい。

実際に、日本が経験した長期デフレが始まった1990年代後半から、GDPの伸びが大きく低下した事実がある。デフレが深刻化する以前の1985~1997年の実質GDPは年平均+3.2%、デフレ停滞期の1998~2012年の実質GDPは同+0.6%である。同じ期間の労働生産性(実質GDP/就業者数)は、1985~1997年同+2.2%、1998~2012年同+0.9%と半分以下になる。デフレと総需要停滞期にGDPの伸びが低く、その結果日本の労働生産性の伸びが低く抑えられていたことは、これらの数字で示すことができる。

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