大河「いだてん」からそれでも目が離せない理由

視聴率では測れない「情報洪水」の快感

ここで思うのは、そんな、テレビから目を離せなくなるような「情報洪水」を、快感に思うかどうかで、「いだてん」の評価が決まるのではないかという仮説だ。

事実、私の周囲でも意見は分かれているのだが、高く評価しない人は、その理由を「展開があまりに忙しすぎて、ストーリーに追いつけない」とする人が多い。

では逆に高評価する人=「情報洪水」を快感に思う人とは、どんな人なのか? このことを考えるにあたり、思い出すフレーズがある。宮藤官九郎の師匠のような存在でもある高田文夫が、昭和40年代に一世を風靡したコント55号(萩本欽一、坂上二郎)が出たテレビ番組について語ったフレーズだ。

「だって、いきなりカメラのフレームの外からダーッと走ってきて、パっと飛び蹴りして、そのままダーッといなくなっちゃったりしたでしょ。(中略)ああ、画面の向こうではすごいことが起きてる。 世の中は大変なことが起きているって思いましたよ」(『笑うふたり―語る名人、聞く達人 高田文夫対談集』中公文庫)

この「画面の向こうではすごいことが起きてる」は、昭和の「テレビ黄金時代」において、テレビ好きの少年少女が、どれほどテレビに首ったけになっていたか、テレビからの新しい情報に対していかに貪欲だったかを、ビビッドに表した名フレーズだと思う。

「情報洪水」が快感な人は「テレビ好き」ではないか

「情報洪水」を快感とする人の多くは、「情報洪水」に圧倒されるマゾヒスティックな喜びがかつて刷り込まれた(元)テレビ好きなのではないか。そして、彼(女)らが今、「いだてん」に強く反応しているのではないだろうか。

おそらく、現在40~50代になっているであろう、そんな(元)テレビ好きは、「いだてん」を見て「画面の向こうではすごいことが起きてる」と思いながら、M-1を見るときのあの集中力を、この1月から毎週稼働させていると思うのだ。

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カーリング人気萌芽の時代から、平昌五輪での銅メダル獲得まで戦い抜いてきた著者。リーダーとして代表チームを率いつつ、人生の一部としてカーリングを楽しめるにまで至った軌跡や、ママさんカーラーとして子育てで得た学びなどを語る。