ロバートの秋山竜次を、最近テレビで見ない日はない。
メディアの調査・分析を行うニホンモニター株式会社が昨年12月に発表した「ニホンモニター2018タレントCM起用社数ランキング」では、男性タレントの中で1位の出川哲朗(14社)に続いて堂々の2位(11社)に輝いている。
なぜ、秋山竜次がこんなに起用されるのだろうか。今回はその理由を、彼の芸の魅力から迫ってみたいと思う。
秋山竜次の独特で、特異な芸風
秋山竜次の本領は「なりきり芸」「憑依(ひょうい)芸」とでも言うべき、独特で特異な芸風だ。
その集大成が『クリエイターズ・ファイル』シリーズである。
秋山竜次がさまざまな「現代を代表するクリエイター」になりきって、その「クリエイター」が、いかにもインタビューで言いそうなことを語るという企画。
昨年3月に発売された『クリエイターズ・ファイルVol.02~BOOK&DVD 2枚組スペシャル・セット』(ヨシモトブックス)に収録された「クリエイター」から抜粋する。
・鷲尾ケイゴ:ストリート・カルチャー・スーパーバイザー
・ジ・エマージェンシー:米ロックバンド
・伊吹のり崇:ラーメンウォッチャー/ヌードルブロガー
・宗像“issiy"裕司:ハイバーFM&ラジオパーソナリティ
おわかりいただけるだろうか。このように、いかにもどこかにいそうな「クリエイター」(その一部は、明らかにネタ元がわかる)を設定し、その「クリエイター」の持つ、いかがわしさ・いけすかなさを、必要以上に誇張して提示するという、何ともねじ曲がった笑いを展開するシリーズなのである。
ここで注目すべきは、「『劇団えんきんほう』所属・子役」などの極端な対象を設定する「狂気」と、人気の子役が発しがちな、ある種の臭気を誇張する「悪意」だ。
似たような芸風を持つ芸人として友近がいるが、この「狂気」と「悪意」の2軸において、秋山竜次は、友近を上回る。それどころか、秋山の「狂気」と「悪意」は、デビュー当時のタモリをも想起させる圧倒的なものである。
事実、秋山竜次自身も、その友近との対談「友近×秋山竜次が明かす『クセの強い人を演じるネタの舞台裏』」(AERA dot. 2018年10月14日)において、「『悪意を感じない』ってよく言われるんですけど、ちゃんと見てる? お前のことやってるぜ、ってことありますよ」と語っており、自身の「悪意」に深く意識的なことがわかる。
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