ソフトバンク「値下げしない」戦略をとる事情 ドコモ、au対抗は格安スマホ・ワイモバイルで
他方で、「安いのがほしい人はワイモバイルにいけばいい。全部が全部安くする必要はない」として、「大容量はSBで対応させる。低価格はワイモバイルで対応させる。こういうバランスで対応できる」と自信を見せた。だが、この思惑どおりいくのかは不透明だ。
auやドコモでは、小容量ユーザー向けの従量課金制のプランと、20GBや30GBの定額プランが主力だ。これに対し、ソフトバンクにも小容量プランはあるが、補助的な位置づけの料金設計だ。実質的にはウルトラギガモンスター+の一択に近い。
その結果、ソフトバンクでは「とりあえず大容量には入ったが、実際には50GBも要らない」というユーザーも一定数いることが考えられる。ソフトバンクが示す1GBあたりの単価80円と、実際に客が利用しているGBあたりの単価には大きな乖離がある可能性もある。
ドコモ、au対抗はワイモバイルで
ドコモなどの値下げは、利用者がキャリア各社の料金を比較し、乗り換えを検討するきっかけにもなる。「50GBは多すぎる」というソフトバンクのユーザーが、値下げしたドコモやauに移る可能性はあるだろう。宮内社長の説明では、こういうユーザーを引きとめ、2社の値下げに対抗するポジションにあるのがワイモバイルということになる。
ワイモバイルはブランド名こそ違うが、通信品質などはソフトバンクとまったく同じものだ。ソフトバンクでは、大容量はソフトバンクブランド、中容量はワイモバイルという形ですみ分けしている。
宮内社長はワイモバイルを1~2割程度値下げする方針を示し、「上半期には出す。ドコモがどういうプランを出すかを勘案しながらだ」と述べた。現在、ワイモバイルはオプションでのデータ容量追加も入れると月に2~21GBまでのデータ容量の使用に対応したプランを用意しており、容量的にはドコモやauの主力プランに重なる。
ただし、3大キャリアのメインブランドとワイモバイルには1つ決定的な違いがある。メインブランドでは、通信料金プランと組み合わせて値引きされる端末として、最新のiPhoneなどが用意されている。一方、ワイモバイルでは最新の端末は用意されておらず、少し古い型のものしか選べない。メインブランドと比べて、アフターケアなどを受けられる店舗数も少ない。
総務省は現在、キャリアが通信料金とセットで端末を割り引く防止策を急ピッチで検討している。その結果次第では、競争環境の前提も大きく変わりうる。とはいえ、現状ではワイモバイルと、ドコモやauの主力プランには、ユーザーが選択できる端末に差があることも事実。ドコモやauの値下げ戦略にワイモバイルで立ち向かうソフトバンクの方針は、はたしてうまくいくのだろうか。
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