世界で最も眠れていない日本女性を襲うリスク ただ「疲れがたまる」だけでは済まない

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睡眠には、アンチエイジング効果もある可能性が高いです。そもそも加齢とは、身体に何が起こっているのか。簡単にいうと、人間の身体には約60兆個の細胞があり、それが絶えず入れ替わっていますが、その細胞の翻訳・転写機能にエラーが出やすくなる、それが加齢現象です。

若いときにも、一定の確率でエラーは出るのですが、それを修復する機能が高いのです。ところが、年齢とともにエラーの修復ができなくなることが増え、蓄積されてしまう。そのため、正常に機能しにくくなるのです。

睡眠をとればグロースホルモンが分泌される

これを知ると、年とともにいろいろな疾患リスクが高くなる理由が理解しやすくなるでしょう。

若いうちはさまざまな病気に対して、柔軟に対応できるからリスクが少ない。多少の無理も利きます。しかし、加齢とともに疾患に対応する力が鈍ってくるので、おのずとリスクが高くなるというわけです。

睡眠と関連する生理機能にしても、体温調節、自律神経の調節、光の感受性などが、若く健康的なときのように正常に働かなくなっていきます。

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ホルモン分泌量も減ってきます。アンチエイジングにはグロースホルモン(成長ホルモン)の分泌が関わってきます。女性は、アンチエイジングとグロースホルモンというと、「シワができにくい」とか「クマが出なくなる」といった美容的要素を連想しやすいかもしれませんが、皮膚だけでなく、もちろん骨にも影響します。

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などになってしまうと、ちょっとしたことで骨折しやすくなる。それが原因で寝ついてしまって老化街道まっしぐら、というケースもあります。

しかし、睡眠をしっかりとっていれば、年をとってもグロースホルモンはきちんと分泌されます。そういう意味では、グロースホルモンはお肌の状態といった表面的な問題以上に、健康を維持し、いかに加齢を遅らせるか、という重大な役割をもっているといえます。

西野 精治 スタンフォード大学医学部精神科教授、睡眠生体リズム研究所(SCNL)所長

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にしの せいじ / Seiji Nishino

医師、医学博士、日本睡眠学会専門医。大阪医科大学卒業。1985年大阪医科大学大学院より新技術開発事業団早石修プロジェクト出向。1987年スタンフォード大学留学。2019年ブレインスリープ創業、2021最高研究顧問就任。2022年NOBシフトワーク研究会設立、会長就任。著書に「睡眠負債」の実態と対策を明らかにしベストセラーとなった『スタンフォード式最高の睡眠』(サンマーク出版)、『スタンフォード大学教授が教える 熟睡の習慣』(PHP新書)、『睡眠障害』(角川新書)、『スタンフォード式 お金と人材が集まる仕事術』(文春新書)、『スタンフォードの眠れる教室』(幻冬舎)、共著に『最高のリターンをもたらす超・睡眠術』(大和書房)等。

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