いちばん多い例が、過保護を受けた子どもの勘違いです。親は子どもを出世コースに乗せるべく、親の人生や財産を犠牲にして、子どもを一人前に育て上げます。しつけや世間の常識を学ばせるのはその後とばかり、成績至上主義で育てたのが功を奏して、子どもはそれなりの社会人になります。
さて、「自分1人の力で一人前になった」と錯覚している子どもは、自分のために親が払う犠牲は「当たり前」で、自分は親より「エライ」人間になっています。気がつけば親が何かを教えたり忠告する隙すら与えない関係に転落しているのです。
あるいは親にコミュニケーションによるトラブル解決能力がなく、意見の違いで即けんかとなる家庭環境で育つと、遺伝するようにそれが子ども夫婦にも受け継がれるケースがよく見られます。
いずれにせよ親が、「息子(娘)夫婦さえうまくいっておれば、親子関係はダメでもよしとする」と我慢を決め込むのは、不健全な結果につながります。親子関係の破綻は、夫婦関係の破綻に根本的にはつながることも少なくないのです。
結局、親子関係で露呈した薄情さやわがままっぷり、話し合いによる解決能力のなさで、気がつけばその子ども夫婦の間に亀裂が入っていたという、泣くに泣けない話は、本当に多いのです。
最後は結局は、愛情が消えかけているときも、”燃料”を注ぎ続ける覚悟があるかどうかにかかっています。
夫婦の愛情もロウソク型と薪の炎型があります。燃えるような愛情も、与えることを知らず、要求することしか知らなければ、やがてロウソクの炎のように燃え尽きます。それに対し、お互いの幸福を願い、愛情を惜しみなく使い合う夫婦は、薪の炎のように、次から次と新しい愛情が積み重ねられる、という例えです。
パートナーを広い心で受けとめる
当相談室を担当させていただいていつも驚くことの1つが、ちょっともめたらその火をコントロールできず、大きく延焼させてあっという間に夫婦関係を焦土化させてしまう人が非常に多いことでした。
結婚式のセレモニーから普段の伴侶の家事への協力度、親戚・人間関係などすべてに及び、そのとおりでないと、相手の愛情を疑い、もめる人たちがとても多いのです。
2人で一緒に幸福になろうと決めた相手なのですから、ここは針の穴から空を見るような狭量な心では、うまくいくはずがありません。
結婚を考えている相手は、自分が愛情や気配りを惜しみなく出せる相手なのか? またはそのように変身できるきっかけとなる出会いなのか? その覚悟や見極めは、とても重要です。
以上、結婚前の5つの留意点を挙げてみました。
6年間、600件もの離婚にまつわる人生相談を続け、毎日のように離婚相談について考えてきた結果、この5つを考えることが、“あからさまな失敗ケース”を避けるために重要なのだと実感したのでした。
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