人口減少に悩む下呂市を支える地元民の挑戦 特産品の創生がアイデンティティにつながる

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「龍の瞳」は、酒造り用に作られた酒米ではなく、食用米。創業から約300年の歴史がある酒蔵とはいえ、食用米からお酒を作るのは新たな挑戦となります。

「挑戦するのはおもしろい。やりがいはありますよね。今まで作ったことのないタイプのお酒になる予定なので、非常に楽しみにしています。いろいろ考えて、それが形となって、みんなが飲んで『美味しい』と言っていただけるのがいちばん。それを楽しみに作っています。岐阜県のもので、というのはすごく大切だと思います。とくに地酒になりますと。せっかくこういうチャンスをもらったので、よい酒になればと思います」と後藤さん。

約300年の歴史を持つ「奥飛騨酒造」(写真:GARDEN Journalism)

現在「奥飛騨酒造」で営業や蔵の手伝いを行い、将来はこの歴史ある酒蔵を受け継いでいく立場にある髙木梨佐さんも、このプロジェクトによる地元の活性化に期待を示しています。

「普段私たちの中だけで完結してしまっている仕事を、外の方達と協力してやっていけるのはいい事だなと思いました。私たちが関わっている事で、地域の活性化をしていける。下呂市全体で、みんなで盛り上げていけるのはいいですね。企業1つだけで大きくなっていくのは難しいので、町の人たちみんなで大きくなっていければいいなと思います」

左から、「株式会社龍の瞳」熊崎陽一さん、「奥飛騨酒造」後藤克伸さん、髙木梨佐さん(写真:GARDEN Journalism)

障害者が地域で暮らしていくために

「何か特徴的なものにしたい」という思いで、完成したお酒のラベルには絵を載せる予定です。その絵を担当するのは、「ひだまりの家」利用者ののぶこさん。絵を描くのが大好きなのぶこさんは、その豊かな感性から、鮮やかな色使いのエネルギッシュな絵を描きます。

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