人口減少に悩む下呂市を支える地元民の挑戦 特産品の創生がアイデンティティにつながる

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「株式会社龍の瞳」の社長・今井隆さんの下呂市内の田んぼで偶然発見された背の高い二株が、水稲品種「いのちの壱」として誕生。「龍の瞳」は、その中でも最高級のお米です。コシヒカリの1.5倍もある粒で、ふっくらもちもちで噛みごたえもあり、香りもいいのが特徴です。

株式会社龍の瞳で販売している最高級米、「龍の瞳」(写真:GARDEN Journalism)
「株式会社龍の瞳」東京営業所所長・熊崎陽一さん(写真:GARDEN Journalism)

東京都内で「龍の瞳」の営業を担当している熊崎さんは、「下呂で発見されたお米で、しかも今回使用するのは下呂で作られた『龍の瞳』。それを地元の酒蔵で作ってもらえるのは、本当にうれしいことですね。地域の輪となっていく事が楽しい。龍の瞳はこれまでもお酒を作ってきたのですが、それは下呂の酒造会社ではありませんでした。完全に下呂市内ですべて完結していくというのは、今回初の試みです。『自分のところのものを作っているんだ』という意識で皆さんと一緒に取り組んでいけたらなと思っています」と話します。

地元で採れたブランド米、地元の酒蔵で新たな地酒に

川嶋舟准教授や「ひだまりの家」の利用者、「株式会社龍の瞳」の社員の皆さんが協力して収穫した「龍の瞳」は、現在「奥飛騨酒造」に運ばれ、仕込みの真っ最中。「一麹(いちこうじ)、二酛(にもと)、三造り(さんつくり)」と言われる日本酒の製造工程の中の、「一麹=麹作り」が終了。現在は「二酛=酒母造り」の工程に移り、「酒母」を仕込み酵母を培養しています(2019年1月18日時点)。

今回の地酒の元となる「酒母」(写真:GARDEN Journalism)

「奥飛騨酒造」の杜氏・後藤克伸さんは、「麹が出来上がったのを見ますと、麹菌がしっかり中に食い込んでいました。食べると甘みが出るのがよい麹なのですが、しっかり甘みが出ていたので出来はよかったと思います。元気な酵母を増やして、これをタンクに移し、本仕込みが始まります。(完成は)タンクに移ってから25日〜1カ月くらいかかるので、2月の後半ですね。ちょっと甘めで酸が高くてほのかに香りがするお酒になる予定です。優しい香りが出ればいいなと思います」と、新しい地酒の様子を教えてくれました。

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