2019年の株価はここから意外に上昇する? 株価は悪材料が多い中でも意外に堅調

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「2019年の株価はもう一段下がる」と読む専門家が多い。だが決めつけるのはまだ早いかもしれない(撮影:尾形文繁)

突然だが1849年に米西部でゴールドラッシュが起きて170年になるという。現代でも金脈を掘り当てようと、仮想通貨のマイニング(採掘)やAI(人口知能)を駆使した運用に人が群がっているが、期待するほど実を結んでないようだ。それはさておき、2019年の日本株には金脈があるのだろうか。テクニカル面から見通しを探ってみた。

19世紀のゴールドラッシュと投資の共通点とは?

1848年1月24日、アメリカ西部の川底から金が出た。その情報は瞬く間に全米に広まり、1849年に「ゴールドラッシュ」が起こった。このとき一獲千金を求めてカルフォルニアへ大挙した人々を西暦にちなんで「49ers(フォーティーナイナーズ)」と呼ぶ。その後、地元サンフランシスコのアメリカンフットボールのチーム名にもなり、チームカラーの一部には「メタリックゴールド」があしらわれている。

前振りが長くなったが、重要なのはここからだ。実は「金を掘っていた者」よりも「金を掘らなかった一部の賢者」が大富豪になったのだ。それはなぜか。ゴールドラッシュで大成功したのは、採掘者のためにシャベル(道具)やジーンズ(作業着)を供給し、金や物資を運ぶために社会交通インフラ(郵便や船や鉄道等)を整備した起業家だった。要するに、利他的に想像力と創造力の双方を働かせたことで社会貢献にもつながり、結果的に大きな財を築いたというわけだ。ビジネスにおいて体の汗をかくことも大切だが、頭(知恵)の汗をかくこともさらに重要といえる。

その100年後となる1949年に東京証券取引所は再開した。戦後の財閥解体によって大量の株式が放出され、取引所を通じて投資の大衆化が進んだ。言ってみればこれは日本の株式版「ゴールドラッシュ」の始まりだった。シャベルではなくマネーを持った投資家「49ers」が兜町へ一気に押し寄せた。なお、1949年の日経平均株価176円に対し、1989年のバブル高値が3万8915円。戦後の高度経済成長も手伝い、40年間で220倍超に跳ね上がったことになる。

もちろん、今もなおアベノミクス相場の恩恵にあやかりつつ、「2匹目のどじょう」を狙っている個人投資家も少なくない。株高に加えて、売買コストやインフラ面が大幅改善したことも大きい。プロの機関投資家が使うような自動売買や高速取引等が個人投資家でも可能となり、マニュアル(人の手)で対応できなかった部分を補完できるようになった。最近ではAIを活用して銘柄選びもできる「スマホ投資」のサービスも登場している。世界的に見渡すと、機械(無人化)による運用規模は2000兆円近くまで膨らんでいるとの試算もある。

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