スポーツに「情報の伝達力」が不可欠な理由 チームを強くするアナリティクスの可能性
西野JAPANは「使って」いなかった!?
1月5日から、UAEにてサッカーの「AFCアジアカップ」が開催されている今となっては少々古い話題だが、昨年の「FIFAワールドカップ ロシア」において、大きなルール変更が3つあったことを覚えているだろうか。
ひとつは、延長戦に入ったら交代枠が「+1」されること。2つめは、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が採用されたこと。そして3つめが、FIFAが用意したタブレットと分析用アプリケーションを使った試合中のデータ分析が、ルール上認められたことだ。
VARは、試合の流れを止める一方で、より公正なジャッジがなされるという利点を見せた。
この3つめのルール変更は、スタンドに座っているアナリストが、トラッキングシステムで得た情報──例えばチーム全体のポジショニング、パスの本数、選手ひとりひとりの走行距離やスプリント回数……等々を解析し、ベンチに座るコーチ陣に対して、戦術的アドバイスを“試合中に”送ることが可能になったことも、ゲームの質を少なからず変えることにつながったとされている。
例えばポジショニングのミスがあったときの修正のスピードが、極めて早くなった。
アナリストがリアルタイムに敵味方双方のプレイを分析し、「今日は相手のビルドアップがこの形だから、ウチはこの陣形に変えてプレッシングしていこう」といった“勝つための戦術変更案”を、ハーフタイムを待つことなく、それこそ前半開始1分であってもベンチに伝えることが可能になったことで、ハイレベルなサッカーにおいてはプランBどころか、Fくらいまでフォーメーションのパターンを用意する必要性が生じたとされる。
アナリティクスの進化が、サッカーというスポーツ自体の進化を促したといえるのではないだろうか。