ゲーム好きから酷評の嵐「Fallout76」の弱点 それでも僕らが「プレイを止めない」理由

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圧倒的なテキスト量や、各ロケーションに隠された物語はFalloutシリーズのウリであるが、顔も知らない、文字に名前だけが出てくるだけのキャラクターたちの関係性を、断片的な情報から結びつけながら、ストーリーを明確に読み込める人は、いったいどれだけいるのだろうか?

核戦争の前から、顧客サービスの失敗で人が重症になったり、死んだりするのが当たり前の世界。そんな残酷だが面白い世界を示すテキストが記憶に残らず流れていってしまう。これを上手に印象深くプレイヤーに見せることができれば、ゲームそのものを空疎に感じることもなかったと思う。

それでもFalloutを「プレイしたくなる」理由

さて、発売から2カ月が経ち、今Fallout76をプレイしているプレイヤーは何をしているのか。すでに多くのプレイヤーは当面のラスボス的存在も倒してしまった。彼らは今、ゴルフ場やバンカーにこもって、レジェンダリー堀りや衝撃補正マラソンをしている。要は特別な武器や防具、アイテムを探している。それ以外に、もうやることがないのである。

だが、僕も含めたプレイヤーたちは、決してFallout76を見捨ててはいない。発売から2カ月以上たったにもかかわらず、ネット上の掲示板にはたくさんのコメントが付き、話題は尽きていない。みんなまだまだFallout76を楽しもうとしている。そうして、このゲームが期待以上に面白いゲームになる時を、待っているのである。

僕自身も、今でもちょっと空いた時間にログインして遊んでしまう。なんだかんだいっても、この世界が好きなのだ。Fallout76の世界観は非常に興味深いし、ワールドには洞窟はもちろん、廃墟と化した街や工場、そして巨大なショッピングモールなど、刺激的なロケーションもたくさん存在する。まだまだ今後のDLCや追加要素によって、面白くなるポテンシャルは秘めている。

Fallout76は発売以降、速いペースでバグフィックスを中心にアップデートされてきたが、今後はクエストなどを含めたアップデートをなるべく早く実施していくことに期待をしたい。

最後に。もし、Fallout76に興味を持った人がいたとすれば、先に前作「Fallout4」をプレイすることをオススメしたい。76の基本的なシステムは4を継承しているので、4から76にくると遊びやすい。また、4は僕にオープンワールドの楽しみ方を教えてくれた作品でもある。4をプレイすると、僕がまだ76に期待し続けている理由がわかるかもしれない。

赤木 智弘 フリーライター

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あかぎ ともひろ / Tomohiro Akagi

1975年栃木県生まれ。2007年にフリーターとして働きながら『論座』に「『丸山眞男』をひっぱたきたい――31歳、フリーター。希望は、戦争。」を執筆し、話題を呼ぶ。以後、貧困問題などをテーマに執筆。主な著書に『若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』などがある。

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