リンガーハット、値上げでも大幅減益の理由 既存店売上高は前期並みを維持しているが…

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2018年2月末から2018年11月までの9カ月間でも、ロードサイド店が6店減少し、フードコート店は22店増加している。主力のリンガーハットだけでなく、「とんかつ大學」というとんかつ業態のフードコート用新業態の出店も強化中だ。

ところが、このようなローコストオペレーションを図っても、コストアップ要因をはね返すことができなかった。

当初の計画では今第3四半期の売上高に占める人件費率を32.6%に抑える計画だった(前年同時期の実績は33.0%)。しかし、人件費が想定以上に増加したため、結果は33.1%と前年同期と同水準の高さだった。「人件費の上昇が、構造改革の効果を上回ってしまった」と、小田取締役はうなだれる。

セルフレジ導入や配送効率化を進めるが…

会社側は今2019年2月期の通期業績について、売上高480億円(前期比5.1%増)、営業利益28.6億円(同1.2%増)と、若干の営業増益での着地を見通す。だが、足元の状況を考慮すると、営業減益へと下振れる可能性は十分にある。

来2020年2月期以降についても、「これから2020年の東京オリンピックに向け人手が必要とされるため、首都圏の求人が逼迫する懸念がある」と、小田取締役。すでに外食業界全体で人手不足が大きな問題となっており、この状況が急に好転することはなさそうだ。

人件費の上昇に対応するため、リンガーハットはフードコート店舗のいっそうの出店や、セルフレジ導入による店舗ローコストオペレーションの強化、そして自社工場と各店舗間での配送の効率化などを実施する。

いっそうのコストアップ要因に耐えられる収益体質を作れるのか。リンガーハットは難しい課題に直面している。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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