JT、新「加熱式たばこ」で挑むアイコスの牙城 市場シェア奪還を狙うが先行きは不透明
ただ、JTはその波に乗り遅れてしまった。要因の1つは、「ここまで市場が一気に広がるとは想定していなかった」(同社の寺畠正道社長)。同社が開発していた「プルーム・テック」で使用するたばこカプセルは従来の紙巻きたばこと製造方法が異なり、量産化にも手間取った。
2018年にはようやく全国展開を始めたものの、出遅れていた間にその差は広がり、足元の加熱式たばこ市場ではアイコスのシェアは9割を超える(英調査会社ユーロモニター)。残りのわずかのシェアをJTとブリティッシュ・アメリカン・タバコの「グロー」で分け合っているような状態だ。
加熱式たばこ市場の成長は早くも足踏み
今回発売する「プルーム・エス」は、アイコスやグローと同じ高温加熱式で、同じ土俵に立つことになる。「ユーザーが不快に感じることが多かった高温独特のにおいを極力抑えている」(高橋正尚・商品企画部長)と強調。アイコスやグローのユーザーを取り込むことで、シェア奪還を狙う。
そんな中、市場トップのアイコスも昨年11月から新製品を投入している。PMIのアンドレ・カランザポラスCEOは「新製品ではユーザーが不満に思っていたほとんどの部分を解消できた」と豪語していた。
市場トップの競合他社が新製品投入でさらに展開を強化する中、JTのシェア奪取は容易ではない。JTはこれまで、「2020年末までに加熱式たばこ市場で4割を握ってシェアトップになる」と掲げていたが、今回の会見では「中長期的にシェアトップを目指す」と、ややトーンダウンした。
加熱式たばこ市場そのものにも暗雲が立ちこめている。「2018年の市場の成長は足踏み状態」(岩井副社長)だからだ。紙巻きを含めたたばこ市場全体における加熱式たばこのシェアは足元で20%程度。「興味を持っているユーザーには行き渡った」(同)ことで、形成からわずか3年ほどで市場は早くも成熟し始めた。
ブームの時期を過ぎ、成熟市場での競争という第2ステージに突入した加熱式たばこ戦争。2019年はJTにとって、勝負の年になる。
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