「パラアスリート講師」に学ぶ共生社会の実現 「あすチャレ!Academy」を実際に受講

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体験するのは、視覚障害者を手引きする方法。2人1組になって1人が目を閉じて視覚障害者役になる。

① 「こんにちは」など声をかけて肩に触れる。「声だけだと自分にかけられているのかどうかわかりませんので」(Academyスタッフ)。
② 簡単に自己紹介して、何をしようとしているのか情報を聞く。「そのときに『大丈夫ですか?』と言うと『大丈夫です』と答えてしまいがちなので『お手伝いすることはありますか?』と言われると頼みやすくなります」(Academyスタッフ)
③ 障害者に自分のひじか肩のあたりを持ってもらう。「自分から腕を取って引っ張ってしまいがちですが、障害者のほうから手を離せるように。またつえを持っている方には、つえと反対側に行ってください」(Academyスタッフ)
④ 斜め半歩~1歩前を歩く。「あなたが止まったときに障害者は1歩前に出てしまいますので」(Academyスタッフ)
⑤ 周辺の情報を伝える。「人混みなのでゆっくり行きますとか、10メートル先を左に行きますなど、言っておくと安心されます」(Academyスタッフ)

これを2人で交互に役を替えて体験してみた。

次に、聴覚障害の方への対応。ちなみに、聴覚障害はパラリンピック競技にはなく、独自に「デフリンピック」を開催している。

筆談のポイントを教えてもらった。

① 横書きにする。「縦書きだと右手がかぶって字が見えないので」(山本選手)
② アラビア数字を使う。「カタカナのニと漢数字の二が似ているので」(山本選手)
③ できるだけ簡素に伝える。

「そうだよな」と思いながら聞いていた。

上下肢障害については、自身が下肢障害のある山本選手の体験談になる。山本選手がパラ・パワーリフティングを始めたのは2016年。東京都の体験会を仕事で視察に行った際にやってみたところ、「40kgを挙げたら、やってみないかと勧められた」と始めたそうだ。

山本選手は仕事と競技を両立しながら出場目指す

競技歴は2年半ほどだが、体重別55㎏級の日本記録保持者で、2度出場した全日本選手権では、50㎏級、55㎏級で1度ずつ優勝している。

パラ・パワーリフティングの練習場所を紹介する山本選手(筆者撮影)

パラ・パワーリフティングは下肢障害がある選手がベンチ台の上に横たわった状態で、バーベルを上半身の力だけで持ち上げる競技。2020東京パラリンピックでは男女10階級が実施される。

現在はパラサポの職員で障害者の理解などの教育事業を担当し「あすチャレ!Academy」には立ち上げからかかわっている。

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