アメリカの「バブル崩壊後」に起きる「大転換」 トランプが置かれた状況は「1930年代」に似る

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ただ昨年2月の下落では、相場はそこまで試さずに戻ってしまった。そしてクリスマスイブの急落でまさにその水準を試し、そこから相場は戻した。一応申し上げておくと、筆者が「トランプ勝利でも株の反発は長続きしない」で触れた、先行指標としてダウの輸送指数のサポートゾーン(9000~8500)は今回は有効だった(昨年12月24日の安値は8600)。

いずれにしても、昨年のFOMCでの主導的役割は、パウエル議長とNY連銀総裁のジョン・ウイリアムズ氏が担ったことは明らかである。だがマーケットの下落局面でのFEDの動向は、結果的にこの時のパウエルプットの噂が正しかったことになる。

FEDは市場の「オピオイド体質」を治せるのか?

ただし、今のFEDの目的は株式市場をサポートすることではない。よって次どこにプットがあるのかはまだわからない。なによりも、FEDの喫緊の課題はリーマンショック後、恒常化してしまった市場の「オピオイド(鎮痛剤)依存体質」をいかに元の健全な姿に戻すかだ。それを、FEDの公式なマンデート(使命)であるインフレの抑制と健全な成長という建前の中で行っていく。

ただその意図が、リーマンショック後の若い参加者が増えた市場に伝わるかは判らない。今回の下げでも、本来真っ先に売られなければならないハイイールド(ジャンク債)が昨年10月になるまでさほど下がらなかった。これはFEDのQE(量的金融緩和)がもたらした過剰流動性による副作用である。痛みやシグナルが、出るべきところに出ない。それは健康体ではなく、まさに余震の兆候がないまま本震のリスクに晒されるイメージだ。だからこそ、何かあればすぐにFEDに頼る市場心理を見極めながら、パウエルFEDは経済を壊さずリハビリを継続するという難しい治療をしなければならない。

そんな中、年末年始の日本のTV番組を見ると、日本では「平成の終わり」をどう迎えるかがブームになっていた。日本のバブル崩壊は、まさしく平成とともに始まったが、その頃筆者は大手証券会社の営業マンとして、株式の営業と同時に「額面100で販売した投信が、4年後には40になる」というひどい下げ相場の説明に忙殺されていた。

ただ当時の業界は、「いずれ相場は戻る」という感覚が支配的だった。投信の運用担当者が、運用成績の不振について支店に説明に来た際「なぜ、日経平均株価が下がれば儲かる投信を作らないのか」と個人的に食って掛かったところ、その返答は「投資信託は経済成長を前提にしている」と妙な具合に「立て板に水だった」のである。

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