円高はまだ始まったばかり、当面のメドは? 購買力平価からドル円の節目を検証する
2月に入りドル円相場が続落、ドル安円高が進んでいる。14日にはドルは対円で昨年安値(1ドル=107.325円)をあっさり割り込み、本稿執筆時点では16日に105.55円と年初来安値を更新している。2月以降、金融市場に見られる最大の変化は株売りの理由に金利上昇が用いられるようになったことであり、これによってドル円相場の行く末もかなり絞られてきた感が強い。
端的に言えば、今後、パウエル新体制のFRB(米国連邦準備制度理事会)が従前の路線を引き継いで利上げを敢行すれば金利上昇が株安を招き、投機資金の円買い戻しで円高になるし、逆に従前路線を覆して利上げペースを緩和(ないし断念)すれば米国の金利低下を招き、これも円高につながるという状況になっているのではないか。米国の金融政策が進んでも退いても「座して円高を待つ」ような状況であり、日本株ひいては日本経済にとっては辛い局面が始まっているように見受けられる。
「座して円高を待つ」当面の節目は?
昨年安値を更新したところで、今回の本稿ではドル円相場の水準感を改めて整理し、節目をどこに置くべきなのかをおさらいしておきたい。筆者は長らく各種購買力平価(PPP)の比較表で相場を確認している。市場で参照されることの多いPPPは95~110円に密集しており、これを「PPPのコアゾーン」として筆者はつねに見通し作成上の「軸」に据えてきた。ラフに言えば、ドル円の評価に関し、95円未満は過小評価、110円以上は過大評価というのが基本認識である。
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