少し安くなった日本株を今買ってもいいのか 高すぎる米国株はもう一段下落の懸念がある
前回のコラム「『米国株』は高すぎると言える『3つの理由』」で書いた通り、残念ながら、やはり日経平均株価の2万4000円台は定着せず、当面の「遠すぎた橋」だったようだ。そして米国をはじめとする世界市場は波乱に見舞われており、日本株もさらなる下落が懸念される。
最初の「波乱の主役」はドル円相場だった
筆者は、日本株だけではなく、内外主要国の経済、政治情勢、株価、金利、為替相場、主な商品市況などを概観しているが、そのように広く眺めると、日本株だけを凝視するよりも「見えてくるもの」が多いと考えている。自己満足なのだろうが。そこで、今回のコラムでは、世界をざっと見渡して、1月初めからの振り返りをしてみよう。すでに起こったことを振り返るのは、先行きを考えるうえで有用だと考える。
まず今年の市場波乱の主役は、米ドル円相場の下落(米ドル安・円高)であった。下落の起点は1月9日(火)だったと言えよう。それまで1ドル=113円前後で推移していた米ドル円相場は、その後1月下旬にかけて108円前半まで落ちていくこととなった。
では1月9日の(火)の「円買い材料」(ドル売り材料)は何だったのだろうか。日本銀行が債券買いオペ(市場操作)で、前回より債券の買い入れ額を減らしたため、量的緩和縮小思惑が広がったことが指摘されている。また同日の米ドル売り材料として、一部通信社が、中国が外貨準備から購入している米国債の買い入れを減らすか、買い入れをやめる可能性がある、と報じられたことが挙げられる。外貨準備で保有している米ドルを米国債に振り向けることを止めて、米ドルをユーロに替えてユーロ建て債に投資すれば、米ドル安要因だからだ。
しかし、それらの材料は、騒ぎ過ぎだ。日銀が足元すぐに緩和を縮小するとは考えがたい。また中国も米国債投資額をあからさまに減らせば、米国債券価格の下落を引き起こして、手元保有の債券の価値が減少し、自分で自分の首を絞めることとなる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら