少し安くなった日本株を今買ってもいいのか 高すぎる米国株はもう一段下落の懸念がある

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しかし欧州からぐるりと回って米国にも金利上昇がやってきた、というのは、余りにも遠回りだ。またクノット総裁は、元々タカ派(緩和縮小に前向き)とみなされていたし、10月以降の債券買い入れ停止という話も、昨年12月30日(土)のブノワ・クーレECB専務理事の発言などにあるように、以前から伝えられている。

おそらく、原油価格のじり高基調や米ドル安の進行および保護主義による輸入物価の上昇が、インフレ率の高まりを招くとの観測に加え、前述の中国による米国債売却懸念など、長期金利上昇要因が積み上がり始めたところに、クノット発言が報じられ、相場を大きく動かしたのだろう。2月2日(金)には、米国の1月分の雇用統計における時間当たり賃金の前年比が上昇し、賃金インフレ懸念が上乗せされた形だ。

米国の「株価」も「債券」も正常化を始めた段階

ただ、最も重視すべき点は、米国長期国債がこれまで買われ過ぎていた(長期金利が低すぎた)という事実だ。米国経済指標などとの当てはめを行なうと、10年国債利回りは3.5%でもおかしくないと考える。これまで低すぎた長期金利が、「正常化」を始めたと言える。

米国株が買われ過ぎていることは、前回のコラムで詳しく述べたので繰り返さないが、長期金利の上昇が米株安の材料とされているものの、本質は、やはり高すぎる米国株の「正常化」だ。

米国の株価も債券価格も、先週下げはしたが、星条旗の国の証券市場の「正常化」は、まだ始まったばかりで、価格下落の余地はまだ大きい。短期的には、絶好の押し目買いのチャンスだと誤解した投資家が買いに飛び込み、米国株が大幅に上振れする日もあるだろう。それでも、強気と弱気が交錯し、世界市場は大きく上下に振れながらも、下値を探っていく展開になると懸念している。

一方、日本株については、日本発の悪材料は見出しにくい。しかし、米株安、米長期債券価格安、それに連れた米ドル安といった、トリプル安がさらに進行すれば、残念ながら日本株も巻き込まれ、下落していかざるを得まい。そうした流れの中で、今週の日経平均株価は、レンジがやや広いが2万2000円~2万3300円を予想する。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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