米国株は減税を加味してもやっぱり割高だ 突然やって来る「Xデー」への準備を怠るな
ニューヨークダウ工業株指数は、先週月曜日(12月18日)に、取引時間中での史上最高値である、2万4876ドルをつけた。それを受けて日経平均株価は、同火曜日(12月19日)の取引時間中に2万2990円という、最近での戻り高値を形成した。しかしその後は日米ともに、さらなる高値更新はできずにいる。日経平均は、再度の2万3000円超えとの観測も強かったようだが、先週段階では達成できなかった。こうした上値の重さは、全く不思議なことではない。
なぜ米国の株価は割高なのに、常態化したのか?
米国株価が週初まで上昇した理由として、減税法案の成立期待が挙げられていた。実際に、減税法案は12月20日(水)までに上下両院で可決された。ドナルド・トランプ大統領が12月22日(金)に署名し、法案は発効している。先行き不透明感があった暫定予算策定も、2018年1月19日までのつなぎ予算が、12月21日(木)に議会で決定された。このため、政府機関が、12月22日(金)以降に予算を欠いて支出を行なうことができず閉鎖される、といった事態は当面回避された。
議会審議の進展は予想以上だが、そもそもS&P500株価指数の予想PER(株価収益率、ファクトセット調べ、足元の四半期を含め先行き4四半期分の企業収益予想を用いている)をみると、2006年以降は18倍が上限として機能していた。だが、昨年11月の米大統領選挙を起点として、18倍を超えて推移することが常態となっている。企業収益の水準と比べ、株価が高すぎるわけだ。
割高な理由としては、法人減税を含む、トランプ政権の経済政策への期待があるとしか考えられない。つまり、昨年11月以来、すでに法人減税期待は、十分市場に織り込まれていたはずだ。そこへ「税制改革法案がもうすぐ議会で可決されそうだから」といった、足元の期待をさらに乗せて株価が上がれば、かえって先行きは危険だと言えよう。先週の米国株価の上値の重さは、期待の上に期待を上乗せしたという、「つけ」の表れかもしれない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら