円高はまだ始まったばかり、当面のメドは?

購買力平価からドル円の節目を検証する

2月に入ってからの円高相場を受けて「投機的に過ぎる」であるとか、「ファンダメンタルズを無視している」といった意見も見受けられるが、そもそも為替相場にはPPP以外、これといったフェアバリューがない。複数のPPPが「95~110円」をカバーしているのならば、ここからはみ出した水準について警戒感を持って語るのが客観的な分析姿勢だと筆者はつねづね思っている。

110円以上はこれといった有力な節目に乏しいという実情があり、持続可能性という意味ではつねに不安がつきまとう水準圏であった。一方、110円未満に関しては、世界銀行や経済協力開発機構(OECD)が示すPPPが108~109円程度であることが金融市場で頻繁に語られてきた。既にこの水準ははっきりと割り込んでおり、有力な1つの節目が突破された状況といえる。日銀短観12月調査における企業の想定為替レートが110.18円であることを考えれば、日経平均株価にも悪い影響が懸念される領域に入ってきたことは間違いない。

1ドル=100~105円が主戦場になる

しかし、少なくともPPPという観点に基づく限り、これで円高の修正が十分進んだとは言えない。歴史的に注目すべきは企業物価ベースPPP(1973年基準)が実勢のドル円相場の上限(円安の上限)として機能してきたという経緯であり、これを重視するのであれば円高余地はまだ大きい。企業物価ベースPPPと実勢相場の乖離率の推移を見てみると、長い円の歴史においても企業物価ベースPPPよりも実勢相場が円安で推移することはまれであった。

そのような局面は過去に2回しかなく、それが「プラザ合意直前に相当する1980年代前半」と「日本銀行で黒田体制が始まった2013年春以降から足元まで」なのである。2017年12月時点(12月末時点は112円)までのデータでは、上方乖離はプラス17%に及んでいる。歴史的には「プラス20%」が天井になってきたことを踏まえると、やはり「110円以上の円安」は過剰感を帯びていると見る。

ちなみに、2017年12月時点の企業物価ベースPPPは96円程度であるため、これが現時点も変わらないと仮定すると、足元の106円付近はプラス10%程度の上方乖離という計算になる。適切な調整が進んでいるのは間違いないが、決して十分とはいえない。105円を早晩割り込み、100~105円を主戦場とする局面になると予想したい。

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