インディード「実写ワンピース」CM人気の要因 年末年始に話題を呼んだCMの共通点とは?
CM好感度トップ10のうち最少の放送回数だったのは9位のキリンビバレッジ『午後の紅茶』だ。昨年12月から放送していたとはいえ、期間中の放送回数はわずか17回。遠距離恋愛をする井之脇海が乗る電車の到着を待ちながら上白石萌歌がHYの「366日」を歌い上げるもので、若年女性を筆頭に幅広い世代から好感されている。
上白石の温かく澄んだ歌声が視聴者の胸を打ち「清らかな歌声に魅せられます。演出や景色も映画のよう」「寒い冬に温かい午後の紅茶が飲みたくなりました」「澄み切った歌声がとても良い。会社帰りに温かいミルクティーを買いたくなる」などの感想が寄せられ、商品の具体的な説明はないものの高い購買意向を得た。提供番組に加え、歌を企画の中心に据えたCMを違和感なく受け止められる映画や歌番組などの枠でも放送した点も好評価の要因だろう。
CMを“自分ごと”にするためには
若い世代を中心にテレビ離れが進んでいるという声も耳にするが、年末年始に家族でゆっくりとテレビを囲む習慣はまだ絶滅していないはずだ。少なくとも1年間のうちかつての“お茶の間”らしい空気が最も流れるのはこの時期なのではないだろうか。つまり通常よりも消費者の意識がテレビに向いている絶好のタイミングだといえる。
この好機を捉え、前述の事例のようにブランドの熱量や企業の本気度を視聴者に届きやすいクリエイティブで表現したCMが、出稿量のボリュームにかかわらず視聴者の心をつかんでいる。
人間関係でもTPOに応じたコミュニケーションが求められるのと同様に、CMもシーズンに合わせた人々の心情や生活スタイルといった世の中の空気を踏まえた展開をすることが重要だ。一般視聴者にとっては企業からの一方的なメッセージの大半は“興味のないどうでもいい情報”だろう。
CMはお邪魔虫であるという前提を忘れずに、“価値のあるコンテンツ”“みずから積極的に見たいもの”に変換するよう努めることで、伝達効率が飛躍的に上がるのではないだろうか。
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