「球数制限」導入する新潟県高野連の思惑は?

導入に当たり懸念材料、日本高野連の動向も

新潟県高野連が、全国に先駆けて「球数制限」という英断を下すことができたのは、新潟県ならではの土地柄が大きく影響していると思われる。

筆者は2015年、『巨人軍の巨人、馬場正平』(イーストプレス刊)という本の取材で、新潟県三条市や新潟市に合わせて3週間ほど滞在した。

まだ雪が残る3月、各地のグラウンドでは早朝からキャッチボールや野球の練習をする人々の姿があった。「早起き野球大会」の選手たちだ。5月になると、毎日のように大会が開かれる。新潟市の図書館には「早起き野球大会○十年史」という分厚い立派な本が並んでいる。

若き日の馬場正平も軟式野球に夢中になったのだが、新潟県は野球が極めて盛んな土地柄なのだ。

しかしながら、豪雪地帯のために練習時間が限られ、野球の実力はなかなか上がらない。新潟県は1926年夏に新潟商が甲子園に出場してから、1958年春に同じく新潟商が出場するまで、32年間も甲子園と縁がなかった。

新潟県内には大阪桐蔭のような野球強豪私学は存在しない。最近は中越や新潟明訓など私学の活躍が目立つが、それでも甲子園では1回戦の壁が立ちはだかっている。

今回の球数制限について、県高野連が県内の高校の指導者に向けた事前のアンケートでは67%が球数制限導入に肯定的だったという。また監督部会でも反対意見は出なかった。「そんなことをすれば勝てなくなる」という指導者はいなかったのだ。

「野球は大好きだがそれほど強くない」という土地柄が、過度の「勝利至上主義」の台頭を抑え、球数制限の導入に踏み切らせたのだと言えよう。

アマ、学生からプロまでが仲がいい新潟野球界

もう1つ、新潟県はアマ野球、学生野球からプロ野球までが仲がいいことがあげられる。

「NIIGATA 野球サミット 2018」を主催した新潟県青少年野球団体協議会には、スポーツ少年団、リトルリーグ、リトルシニア、ポニーベースボール、ヤングリーグ、ボーイズリーグ、中体連軟式野球部、そして新潟県高野連らが加盟している。小学校から高校までの軟式、硬式野球のほぼすべての団体が集まっているのだ。

さらにその上部組織である新潟県野球協議会には、JABA(社会人野球)の企業チーム、クラブチームから、大学野球チーム、女子野球連盟、さらには独立リーグの新潟アルビレックスBC、そして還暦軟式野球連盟までもが名を連ねている。

つまり、新潟県は「野球を楽しむものがみんなで集まって野球の未来を考える」素地があるのだ。

他地域では何か活動をしようとすると「高野連ににらまれる」という声をよく聞く。特に新興の独立リーグ球団は、地元の高野連に気を使うことが多い。しかし、新潟ではそういうことはない。新潟アルビレックスBCの池田拓史社長は以前「新潟県野球協議会を通じて、さまざまな団体と連絡を取り合っている」とも話していた。

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