フットワーク系はすべて見直しが行われ、サスペンション各部の剛性アップ(フロントスタビライザー26%、リアスタビライザー19%、リアコントロールアームブッシュ21%、リアハブ6%)とともに新開発の専用タイヤ(コンチネンタル・スポーツコンタクト6)を採用。そのうえで、アクティブ・ダンパーシステムやVSA、EPSの各制御やスポーツハイブリッドSH-AWDの駆動力配分も最適化されている。これにより限界性能/コントロール性向上はもちろん、それ以上にドライバーとクルマの一体感、操作に対する動きのつながりといった「ドライビングプレジャー」の部分に徹底してこだわったという。
交差点を1つ曲がっただけでわかる違い
試乗ステージはサーキットではなく一般道。試乗前はその違いがわかるか不安だったが、走り初めて数百m、交差点を1つ曲がっただけで違いがわかるレベルである。
まず2016モデルと車両重量の変化はないが操作に対するクルマの動きに軽快さが増している。切り始めの操舵力が軽くなったステアリングとロールが抑えられた効果か。また、バネ下重量が軽くなったような軽やかな足さばきで必要な情報は伝え不快な振動は素早く収束するフットワークに進化している。
スーパースポーツカーらしからぬ穏やかな動きの2016モデルも悪くはないが、多くの人が言う“大味”な印象は消え、かつてのホンダらしい繊細さや洗練さが増しているように感じた。これはサスペンションの最適化やタイヤの変更に加えて、各部の剛性アップも効いているのだろう。
ワインディングでペースを上げていくと2016モデルとの差はより明確である。2016モデルはスポーツハイブリッドSH-AWDの制御を見据え、クルマが曲がるのをジッと待つような“独特”な乗り方が要求されたが、2019モデルはいい意味で制御を感じにくい自然なフィーリングになっている。
ただ、制御が弱くなったのではなくドライバーが主役で制御は黒子に徹しているのによく曲がる……という印象だ。つまり、自分の操作とクルマの動きにズレがない=一体感が増している。クルマの状況がよりつかみやすくなった結果、ドライバーとクルマの信頼関係が増しているのだろう。ちなみに社内テストで鈴鹿サーキットのラップタイムは約2秒短縮しているそうだ。
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