フォード「マスタング」しぶとく残る車の真価 乗用車不振の中、イメージリーダーを守る
今年6月16日はフォード創業115年の記念日だった。流れ作業とベルトコンベア導入による自動車の大量生産に先鞭を付けた、自動車メーカーの元祖である。
その由緒あるフォードで1947年(昭和22年)、つまり終戦の2年後に始まったピックアップの「Fシリーズ」を除き、最も長く続いている車名が「マスタング」だ。
なぜ、マスタングだけが生き残れたのか
今年4月の決算発表で、フォードはラインナップの90%をSUV含むライトトラックなどに移し、マスタングとこれから導入される「フォーカス アクティブ」を除いて乗用車開発から撤退すると発表した。
フォーカス アクティブは乗用車ベースとはいえ、日本車で言えばSUBARU(スバル)「XV」のようなSUVルック。「フォードが北米でセダンから撤退する裏事情」(5月4日配信)でも詳しく解説したように、年間21万台販売の「フュージョン」も、同16万台の「フォーカス」も消滅する中で、純然たる乗用車としては唯一マスタングが残る。
マスタングの2017年の販売台数は約8万1000台と、この手のクルマとしては優秀だが、フュージョンやフォーカスと比べると絶対的なボリュームがあるワケではない。なぜ、マスタングだけが生き残れたのか。
フォードが乗用車を大幅に削減する理由は1にも2にも、レンタカーなどへの販売が多く、かつ一般販売においても値引きが多く、収益性が低いことにある。レンタカー商売が少ないマスタングは、価格が高いこともあって収益性は悪くないはずだ。それを支えているのが、マスタングが1960年代からずっと、フォードのイメージリーダーカーであり続けていることだ。
マスタングとは、アメリカ大陸にスペイン人が持ち込んだ小型の馬が野生化したものを指す。つまり野生馬だ。1965年に登場した初代フォードマスタングは、セダンのプラットフォームを流用し、安価に流麗なクーペスタイリングを提供する“ポニーカー”の草分けとなった。
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