衆参同日選?永田町に吹く解散への疑心暗鬼 日ロ会談、消費増税の決断次第で解散断行も

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ただ首相は、6日に公開されたNHKの党首インタビューでも同日選を否定する一方、「これまでも、国論を二分するような改革は、5回の国政選挙で勝利することによって実施することができた」とも語った。これについて周辺は「国民の信を問うようなテーマがあれば解散する、と受け取れる」と解説してみせる。

こうした首相の発言について、同じ番組で立憲民主の枝野代表は「常識のない方が解散権を持っているので、あり得るという想定で準備したい」と述べ、国民民主党の玉木雄一郎代表も「野党がバラバラの状況なら、半々の確率で(解散は)ある」とそろって同日選を前提とした野党選挙共闘態勢構築の必要性を力説した。小沢一郎自由党代表も「同日選なら政権交代のチャンス」と堂々と受けて立つ姿勢を示した。

これに対し、二階俊博自民党幹事長は7日の記者会見で「今のところ、いろんな方々が憶測で(同日選を)叫んでいるにすぎない。あるとすれば幹事長の私にどなたかから相談くらいあるはず」と微妙な言い回しで煙幕を張った。

首相ペースで飛び交う解散話

首相にとって「伝家の宝刀の解散は秘中の秘」(自民幹部)だ。政界では「首相は解散と公定歩合については嘘をついてもよい」というのが定説で、ポスト安倍の有力候補の石破茂元幹事長も「頭の片隅にないとしてもまん中にあるかもしれない」と疑心暗鬼を隠さない。首相経験者も「首相自身が否定すればするほど、『怪しい』となるのが政界の常だ」と苦笑する。ただ、政治決戦の年とはいえ、新年早々から半年後の解散話が政界のど真ん中で飛び交うこと自体が「首相ペースの政局展開」(自民長老)ともみえる。

もちろん、解散断行には様々な前提がある。前回衆院選から2年足らずで、というのは枝野氏の言うように「常識的ではない」ことは確か。ただ、首相自身が示唆したように「国益や国民生活に関わる重大な決断」は国民に信を問う理由にはなる。いわゆる「解散の大義名分」というわけだ。具体的には「日ロ合意」と「消費税10%の凍結・延期」が取りざたされている。

首相は5日の下関市の後援会会合でのあいさつで、北方領土問題を含むロシアとの平和条約交渉について「ここからが正念場だ。私とプーチン大統領の手で必ず終止符を打つとの決意で交渉に臨む」と改めて決意表明した。「終止符」とは、日ロ首脳会談での「合意」を意味する。首相は1月下旬の訪ロと6月末の大阪での20ヶ国・地域(G20)首脳会合に合わせたプーチン大統領訪日の際の日ロ首脳会談で、北方領土返還とそれを前提とした日ロ平和条約締結の道筋を明確にすることに意欲を示している。6月末までに日ロ首脳が何らかの合意にこぎ着ければ、首相が目指す「戦後外交の総決算」への重大な一歩となることは間違いない。そうなれば「当然、国民に信を問うテーマ」(自民党幹部)となり得る。

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