インターンシップに関しては実施期間が議論されることが多かった。「多かった」と過去形で書くのは、経団連が2017年に「5日間以上」としてきた日数規定を廃止したからだ。ただ日数規定が廃止されても「本来のインターンシップは長期の就業体験を指す」とする意見は残っている。確かに就業体験を目的とするインターンシップと、就活の一環として行われるインターンシップは異なっていて当たり前だ。だが、学生は「本来」といった建前にあまり関心は示していない。
「望ましいインターンシップの日数」を学生に聞いたところ、有効回答310人のうち「半日・1日タイプ」を支持する学生は85人、「2~3日タイプ」は156人、「1週間程度タイプ」58人となった。「2週間以上」は14人と極めて少ない。
気軽に参加できるのは「半日・1日タイプ」であるが、望ましいのは「2~3日タイプ」らしい。「半日・1日タイプ」では物足りないが、かといって「1週間程度タイプ」となると重いらしい。就活として参加するインターンシップに対して、長期を望む学生は希少なのだ。文系でも理系でも長期ではなく、「半日・1日」「2~3日」を望む学生が多いが、ニュアンスは文理で異なる。
「2~3日」を望む声が最多
「半日・1日タイプ」を望む文系学生は、採用のための効率的な情報収集を望んでいる。支持する理由を聞くと次のような答えがあった。
「採用にかかわるものでなく、長期間になると本業である大学での授業に影響するから」(立命館大学、文系・男性)
「複数日程は日程調整が大変だから」(北海道大学、文系・女性)
「仕事を体験しに行くのが目的ではなく、本採用に向けて情報収集をするのが目的だから」(早稲田大学、文系・男性)
一方、理系学生の理由は、多忙さを挙げている。まじめに研究していれば、長期インターンシップに参加するのが難しいのは当然だ。
「多忙なので1日や半日のほうが参加しやすいため」(東京女子大学、理系・女性)
「学業が忙しいため」(大阪府立大学、理系・女性)
「研究活動が忙しく、時間がとれないため」(東邦大学、理系・男性)
「理系だと研究もあるのでインターンシップにそこまで時間を割けないため」(北海道大学、理系・女性)
また、地方大学の学生にとっては、長距離移動に伴う交通費と宿泊費の負担が大きい。
「交通手段や学校の授業との兼ね合いが難しいのでできれば短い時間であってほしい」(山口県立大学、文系・女性)
「交通費・宿泊費がかかる。研究室での生活もあるため」(長崎大学、理系・女性)
「地方から都市圏に行く時間がないから」(岩手大学、理系・女性)
印象の良かったインターンシップ実施企業としてキヤノンを挙げた学生は「交通費、宿泊費、食費を負担していただいた」(同志社大学、文系・男性)と書いているが、そういう親切な企業は少なく、地方学生の大きなハンディキャップになっている。
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