日本人苦学生がNYの不動産で成功したワケ 愛娘の死を経て深まった、夫婦の絆とは
また大坪さん夫妻は、お金よりも人とのつながりのほうが大切だという。
「僕は今までいろんな人に助けてもらったお陰で、今があると思っています。そういった経験から、自分1人だと何もできないとわかっているので、人の輪、人との絆をできるだけ大事にしています。それが僕のモットーですね」(賢次さん)
そんな2人は、よくお客様を自宅に招いてホームパーティーを開催している。多いときは週に数回開催し、時には数十人のお客様を招くこともある。そのたびに理恵さんが料理を作り、もてなすそうだ。
ホームパーティーをやるとなると、問われるのが妻の力量なのではないだろうか。なぜなら、食事を含むおもてなしだけでなく、さまざまなバックグラウンドを持つお客様との社交力も求められるからだ。
またニューヨークでは、自宅でのおもてなしによってビジネスの成約率が変わるという。こういった夫婦二人三脚で行うホームパーティーも、彼らがアメリカで成功した理由の1つかもしれない。
愛娘の死を経て、より夫婦の絆が深まった
仕事もプライベートも順風満帆だった賢次さんと理恵さんだが、そんな2人にもある不幸な出来事が起こった。愛する娘を交通事故で亡くしてしまったのだ。
大切に育ててきた娘を亡くしたことで、理恵さんは生活を送ることも困難になるほど深く落ち込んでしまったという。
「その時、主人はことごとく私のサイドに立って、サポートをしてくれました。主人には数え切れないぐらい感謝しています。娘が亡くなったことは私たちにとってあまりにも悲しい出来事でしたが、それによって夫婦の絆が強くなったと思います」と当時を振り返り、理恵さんは涙を浮かべた。
そしてこんなことも言った。
「私は数年前からパーキンソン病にかかり、思うように動けなくなってしまったのですが、そうなった今でも、主人はいつも私を気遣ってくれるんです。つねに私を幸せにしてくれようとしている。だから私は幸せ者です」と。
「日本に住んでいたら助けてくれる親兄弟がいるけれど、ここは海外。彼女を幸せにするのは誰かっていったら、僕しかいないんですよ。
それに僕は、彼女と結婚していなかったら今のような人生は120%なかったでしょう。人生の節目節目で助けてもらっていますから。とても感謝していますし、彼女がいないと困る面もたくさんあるので、これからも健康に注意して幸せな人生を送ってほしい。そのためにも、僕が彼女を幸せにしなければならないと思っています」(賢次さん)
相手の幸せのために、自分はどう貢献できるのか。それをお互いに考え体現しているからこそ、大坪さん夫妻は仕事の成功を手に入れただけでなく、愛あふれる家庭を築くことができたのだろう。約50年にもわたる2人のヒストリーには、ビジネスのヒント、パートナーシップの秘訣がたくさん詰まっていた。
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