日本人苦学生がNYの不動産で成功したワケ

愛娘の死を経て深まった、夫婦の絆とは

仕事の話をしていると、いつしかゴルフの話で盛り上がり、有名な会員制ゴルフ場へ彼の自家用ジェット機で招待されることになった。飛行機には10人は乗れるので友人を誘ってもいいというので、取引先のゴルフ好きな銀行の支店長を誘った。

「以来、そのアメリカ人の自家用ジェットで、銀行の支店長と何度もゴルフをまわりました。そのお陰か、30軒もの社宅をその銀行から買ってもらうことになったんですよ」(賢次さん)

アメリカでの人脈はすべてゴルフから

またある時は、そのアメリカ人の不動産会社社長に誘われて、新しくできたゴルフ場へ行ったところ、あまりにもすばらしかったので家に帰って「あのゴルフ場のメンバーになりたい」と賢次さんは理恵さんに言ったという。

すると理恵さんは「日本人がアメリカの有名クラブの会員になれるわけがない」と冷静だった。

「でもそんなに入りたいのなら、こちらから入りたいと言わないで、向こうから入らないかと誘われるまで待ったらどう?」と提案されたそうだ。

「妻に言われたとおり、自分から入りたいとは言わず何度もゴルフ場に通っていたら、『ミスター大坪、そんなに気に入ったなら入らないか?』とあちらから声をかけられ会員になることができました。しかも、そのゴルフクラブのメンバーにはアジア人は僕しかいなかったので、すぐに理事に選ばれたんです!」(賢次さん)

アメリカでは日本のように名刺交換をしない。さらに、ほかの理事とはゴルフ場ではファーストネームで呼び合っていたため、相手がどんな仕事をしているか最初はわからなかったという。

「でも、あるマンハッタンの一流レストランで理事会があり、よくよく話を聞いてみると、ニューヨーク・タイムズの社長だったり、ゴールドマン・サックスの会長だったり、共和党の委員長だったり……もう各界のトップばかり。そんな方々と知り合いになることで、僕はアメリカ社会にどんどん入り込み、人脈を広げることができました」(賢次さん)

この頃知り合ったのが、ドナルド・トランプだという。お互いのオフィスが近かったこともあり、よく一緒に食事をしたり、ゴルフに行ったのだとか。

当時のトランプ氏について聞いてみると、こんなエピソードを話してくれた。

「トランプはなかなかのナイスガイでしたよ。気さくで茶目っ気もあって、よく食事をごちそうしてくれました。トランプの長女イヴァンカが娘たちと年齢が近かったこともあり、家族で野球を観に行こうと誘われたこともありましたね。

こんなこともありました。2人で五番街を歩いていると、ホームレスがいたんですね。それを見てトランプは『賢次、あのホームレスは俺より金持ちだよ。俺は金はあるけど、借金のほうが多い。彼らは金はないかもしれないけど、俺ほど借金もないだろ』なんてことを言っていましたね」(賢次さん)

また日本からも、賢次さんが理事を務めるゴルフクラブに入りたいという申請書が多数届くようになり、トヨタの社長やソニーの会長、サムスンの令嬢など企業のトップとも知り合うようになった。

「ゴルフをしたことで、普段会えないような方々とも知り合うことができました。これも妻のお陰ですね」(賢次さん)

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