前例のない「GW10連休」、交錯する期待と不安 観光業界は歓迎も、株価の変動リスク高まる

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10連休になったことで、2019年のGWは多くの日本人が海外旅行に出かけそうだ(共同通信)

今上天皇の退位と皇太子さまの新天皇即位に伴い、2019年のゴールデンウィーク(GW)は4月27日から5月6日まで10連休となることが決まった。異例の長期休みで、観光業界や小売業界を中心に経済波及効果を期待する声が聞こえてくる。

旅行の予約件数は数倍の規模に

「4月27日、28日辺りは(予約件数が)前年比プラス150%ぐらいの伸びになっている」。エイチ・アイ・エスで旅行事業を統括する中森達也・専務執行役員はそう語る。同社の予約件数は連休全体で前年比3〜4倍に。人気のハワイやグアム、アジアの都市部行きのチャーター便や航空会社の便から席を買い取って、自社専売を増やす準備を進めている。

JTBの推計によれば、2018年の日本人海外旅行者数は1890万人と6年ぶりに過去最高を記録した。2019年も1910万人と連続更新が見込まれる。特に今年は日程調整をする必要がないため、昨年末時点で、各社の予約件数はすでに数倍の規模に膨らんでいるもようだ。

国内の行楽地もにぎわいそうだ。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは「天候には左右されるが、休日が多くなるという点で集客増につながると期待している」(会社側)。また、「行楽地へのドライブが増えることから、ガソリン需要は増加するとみている」(ガソリンスタンド運営会社)。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鹿野達史シニアエコノミストの試算によると、10連休は通常のGWに比べ、9265億円の消費押し上げ効果があるという。休みが単純に3日間増えるという前提の試算ということもあり、10連休である点を勘案すれば、「効果がさらに大きくなる可能性がある」(鹿野氏)。

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