大手IT企業のSCSKは、2019年1月より副業・兼業制度(スマートワーク・プラス)の導入を発表しました。これはSCSK社員が業務時間外に社外の業務に就いて報酬を得る副業と、業界を問わず他社で働く人が同社で働くことを受け入れる兼業を認める制度です。
同業他社を対象とする副業は許可制であるものの、現場の上長だけでは却下できず、人事部が関係各所から聞き取りを行ったうえで判断される仕組みです。社内での反響は大きく、当初想定していた300人の説明会参加者枠がすぐに埋まり、ビデオ会議での参加を含めると2000人弱、全社員の4分の1程度になったといいます。それだけ副業への関心の高さがうかがえます。
一方、約7割の企業が副業・兼業を禁止しており、その理由として「社員の長時間労働・過重労働を助長する」(44.8%)、「労働時間の管理・把握が困難」(37.9%)、「情報漏えいのリスク」(34.8%)などを挙げています。ほかの会社に雇用される形で副業・兼業を行う場合は、労働時間に関する通算規制や、労災、社会保険の問題など、法整備が追いついていない状況から二の足を踏んでいる企業も少なくありません。
副業・兼業以外の選択肢は?
自分自身のスキル・資質を高め、新たな人間関係を広げるために、副業・兼業、インターンシップ、海外留学や留職といった選択肢は有効と言われますが、これらは職場環境に左右される現実もあり、なかなかハードルは高いと言えます。
副業・兼業など以外の選択肢として、キャリア開発に有効な方法があります。それが「越境学習」、つまり普段の自分のフィールドである職場や組織を越えて、アウェーで活動することです。
具体的には、NPO活動への参加や、地域のボランティア、PTA活動、社外勉強会、趣味のサークル活動、社会人大学やビジネススクールでの学びなどです。自分の普段の生活範囲では出会わないような人たちと積極的な関わりを持って活動に取り組むことです。
本業とは違った課題に直面したとき、それらを解決するための知識や問題解決能力が自然と求められていきます。自分の強みや弱みなどに気づく契機となったり、人的ネットワークを広げられたりする可能性も高まります。ビジネスにおいても難しい場面をくぐり抜けた経験がのちのキャリアに生きてくるように、異質なアウェーでの多様な経験から自分自身を振り返ってみることで、新たな気づきが得られるかもしれません。
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