日本では、長らくOJTを中心とした自前主義的な人材育成が主流で、転勤や出向などの配置転換も組織の意向で行われてきました。しかも、長時間労働が当たり前で、ワーク・ライフ・バランスとは縁遠い働き方であったと言っても過言ではありません。いわゆる会社主導で社員のキャリア形成がなされてきたわけですが、人生100年時代にあっては、個人も組織も発想を転換させる必要があります。
個人においては、業界や職種、働き方などを変えても通用するスキルを身に付け、手持ちのカードを増やし自律的にキャリアを切り開いていくことが求められています。一方、企業や組織は、多様な人材が活躍できる場を提供するプラットフォームとして機能することであり、キャリア自律を支援していくことが必要になっていきます。
主体性のある人材こそ息苦しさを感じる
そのためには、柔軟な働き方や人材活用方針を示し、オープンイノベーションのために社内外で活躍の場を提供していくことが意味を持ちます。企業からすれば、副業・兼業などを認め社外と積極的な交流を図ることは、ある意味人材流出のリスクもある不都合な制度になると言えるかもしれません。
しかし、主体性のある優秀な人材こそ、裁量のない働き方に息苦しさを感じてしまい、モチベーションの低下や組織から離れてしまうリスクも潜んでいます。そこで重要となるのは、企業がプラットフォームとして従業員を支援しつつ、個人と企業がベクトルを合わせ、ともに成長していくという発想です。
ベストセラーになった『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社、2016年)では、人生100年時代を生き抜くために、見えない資産の重要性を説いています。それらを集約すれば、①スキルと知識の向上、②肉体的・精神的な健康、③多様性に富んだネットワークの3つです。いずれも自分の心持ち次第で、高めることができます。アウェーで活動する方法は、転職ばかりとは限りません。今すぐ、自分にできることを考えてみてはいかがでしょうか。
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