橋本真由美 ブックオフコーポレーション社長
創業者の坂本孝会長に“リベート疑惑”が浮上、不適切な売上計上も発覚した。パート主婦で入社して、坂本会長の指名で社長まで登り詰めた橋本社長。この危機にどう向き合うか。(『週刊東洋経済』5月26日号より)
真相の究明が何より先決 “お茶濁し”は絶対しない
1:ブックオフの上場前に、本棚等の仕入先から坂本会長がリベートを受け取っていたなどと一部週刊誌が報じている。
報道には本当に驚き、衝撃を受けました。株主や投資家の皆様、またお客様にも多大なご心配をおかけすることになり、申し訳なく思っています。しかし、こんなときにこそ、しっかりしなければならない。一日も早く株主やお客様の信頼を回復し、社員やスタッフのためにも、ブックオフのブランドを守っていく努力をいたします。
2:西武ライオンズ球団の「裏ガネ疑惑」で調査委員を務めた矢田次男弁護士を委員長として、調査委員会を発足させた。
まず何よりも、真相を明らかにすることが先決です。坂本は報道内容を強く否定していますが、記事には具体的な部分もありました。上場会社としてきちんと説明すべき事柄と判断し、第三者による調査機関を設けました。矢田弁護士は「徹底的に調べる」と言っていますし、坂本も「全面的に協力する」と返答している。お茶を濁すような調査にはなりません。
3:一連の調査結果は、いつごろをメドに出るのか。
株主総会に間に合うように6月中旬までに中間報告、7月中旬までに最終報告をいただくことになっています。事実関係の存否だけでなく、コンプライアンスや内部統制上の問題はなかったかなど、今後の再発防止策も提言していただく予定です。記事が出た後の対応は、素早くできたと思います。あとは調査結果を待って、その内容や提言に沿った形で、会社として対処していくことになります。
4:橋本社長は店の現場を重視している。社員やアルバイトにはどう説明したのか。
社員の動揺が心配でしたので、迅速に動きました。週刊誌が発売される前日の夜、全国からエリアマネジャーや部門長など約60人を本社に集めました。記事が掲載されること、会社の対応などを説明して、それぞれの地域で「店長の顔を直接見て」、その内容を伝えるように指示しました。一昼夜のうちに、全国すべての店長に会社の考えが伝わったはずです。
現場の揺らぎはまったくありません。ただ“ブックオフばか”と言えるほど、一途に会社を信じてきた人間が多い職場です。彼らの心のケアは、しっかりしていく必要があると思います。
5:会長への権限集中など、社内体制に問題はなかったのか。
これまでも内部統制の強化を図ってきましたが、今回の件をいい機会にして、管理体制の総点検を行うつもりです。調査結果の内容を踏まえたうえで、何か問題が明らかになれば、適切な処置を施していきます。
(書き手:吉田正志)
はしもと・まゆみ
1949年福井県生まれ。69年一宮女子短期大学家政科卒業。90年ブックオフ直営1号店にパートとして入社。91年パート店長から正社員に。94年取締役、2003年常務、06年代表取締役社長兼COO。
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