日本人が知らない「改元前後」の宮中行事 天皇の代替わりに伴う行事が40以上ある

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剣璽とは歴代天皇に伝わる「三種の神器」のうち、「剣」と「璽(じ)」=勾玉(まがたま)を指している。ちなみに剣璽のほかに三種の神器は「鏡」であり、その本体は伊勢神宮に保存され、皇居・宮中三殿には分身が置かれている。また剣璽は相続税法では非課税の対象となっているが、今回の代替わりは崩御ではなく相続を伴わない。このため昨年6月に成立した特例法において、贈与税の非課税対象と定めている 。

この「剣璽等承継の儀」で「剣璽」のほかに受け継がれるのは、「御璽」(ぎょじ)と「国璽」(こくじ)。前者は天皇の印であり、「御名御璽」(ぎょめいぎょじ)として法律や条約の末尾に陛下直筆のご署名(御名)とともに押されている。後者は国の印であり、「勲記(勲章の証書)」の末尾に押されている 。

報道によれば、 この儀式に参列する皇族は成年男子に限られる方向だと言われている。 その理由は明治期に定められ、戦後に廃止された 「登極令」(とうきょくれい)に基づいており、 皇位継承の可能性のある皇族だけが参列するのは、 この儀式の「慣例」だからだという(読売新聞 2018年11月3日朝刊)。

改元後も多数の行事がある

そして、この承継の儀式と同じ日(2019年5月1日)に国民の代表である三権(行政、立法、司法)の長、つまり内閣総理大臣や衆参両議院議長、最高裁判所長官をはじめとした国民の代表と、ご即位後初めて公式に会う「即位後朝見(ちょうけん)の儀」が行われる 。

現在、日付とともに実施の決まっている儀式はこのほかに、新天皇の即位を国の内外に示す「即位礼正殿(せいでん)の儀」(即位の礼)があり、2019年10月22日に行われる。代替わりに伴う儀式について協議する「大礼委員会」の初会合(2018年10月12日)では、この「即位の礼」に関して参加者の人数を減らすなど、方針が示されている 。

前回の「即位の礼」は「松の間」で行われた。ここは新年祝賀の儀をはじめ、歌会始の儀や勲章親授式などテレビや新聞のニュースで映る機会が多く、皇居・宮殿で最も格式の高い場所とされるものの、前回は参列者約2200人すべてを収容できず中庭に仮設席を設けた。このため宮内庁は今回、秋の台風・長雨シーズンに行われる点を考慮し、屋内だけでの開催を検討している。

「即位の礼」と同日には、「祝賀御列(おんれつ)の儀」、すなわち新天皇をお披露目するパレードの実施も決まっている。前回使用したロールスロイス社製のオープンカーは不具合をきっかけに廃車となり、現在は「参考用」として保存されている。そこで政府はパレード用に国内自動車メーカーに新たに発注する。

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