日本人が知らない「改元前後」の宮中行事 天皇の代替わりに伴う行事が40以上ある

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さらに「即位の礼」の翌日には外国からの参列者に対して、日本の伝統文化を披露し、謝意を表するために内閣総理大臣夫妻主催の晩餐会が行われる。現在のままであれば、安倍晋三首相と昭恵夫人の2人でホストを務める予定だ。

代替わりまで約4カ月となった現時点で宮内庁が公表しているだけでも40を超える儀式が予定されている。なかでも重要なものとして、「饗宴の儀」と「立皇嗣(りっこうし)の礼」の2つがあるものの、後者のスケジュールは決まっていない。

前者は文字どおり即位を祝う「饗宴」であり、前回は1990年11月12日から4日間に合計7回開かれ、外国の元首など合計約3000人が参加したが、今回は負担軽減のため4回に減らされる。後者は秋篠宮様が皇位継承順位1位の「皇嗣(こうし)」になられたことを広く国民に明らかにする儀式で、2020年4月の実施を見込んでいる 。

異議集まる「大嘗祭」

代替わりに伴う行事・儀式は、これだけではない。宮内庁のウェブサイトによれば前回、今上陛下の即位にあたっては、今回触れたほかにも「主な儀式・行事」だけで20以上が挙げられている 。

なかでも「大嘗祭(だいじょうさい)」は、新しく収穫された米などを天照大神とすべての神々に供えたうえで天皇みずからも食べ、国と国民の安寧や五穀豊穣などを祈る儀式だ。しかし政教分離の観点から、前回は各地で裁判が起こされている 。また、先ごろ、秋篠宮さまからも「宗教色が強いものを国費で賄うことが適当かどうか」と指摘されている。

天皇の代替わりは、さまざまな儀式によって、これまでの日本の歴史に思いをはせるとともに日本国憲法をはじめとした現代の法規範との関係について議論の交わされる大きな機会になる。

平成の終わりへと向かうカウントダウンは、こうしていくつもの論点を浮き彫りにしながら着々と、そして淡々と進んでいく。

鈴木 洋仁 神戸学院大学現代社会学部准教授

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すずき ひろひと / Hirohito Suzuki

東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(社会情報学)。1980年東京都生まれ。2004年、京都大学総合人間学部卒業後、関西テレビ放送入社。2010年、株式会社ドワンゴに入社、2011年から2016年まで独立行政法人国際交流基金勤務。その後、東京大学大学総合教育研究センター特任助教、事業構想大学院大学准教授、東洋大学グローバル・イノベーション学研究センター研究助手を経て、2023年から現職。著書に、『「三代目」スタディーズ 世代と系図から読む近代日本』(青土社、2021年)、『「元号」と戦後日本』(青土社、2017年)、『「平成」論』(青弓社、2014年)などがある。

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