娘とうまくいかない父親に共通する思い込み 母親まかせはNG、成長に合わせた接し方を

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娘に嫌われてしまうような言動していませんか(写真:Milatas/iStock)

「イクメン」という言葉が日常的に使われるようになったこの頃、父親が子育てに参加するのは喜ばしいことだが、同性である息子と異性である娘とでは、接し方、対応の仕方にとまどうことはないだろうか。父親は、我が娘とはいえ異性であるため、自分の成長過程を振り返っても、娘の心の細かい機微まで理解することが難しい。それゆえ、つい自分本位な接し方になりがちである。

「父親の存在は薄い」は大きな誤算

幼い頃は、「パパ!パパ!」と無邪気な笑顔で慕っていた娘も、やがて小学校高学年、中学生となり思春期を迎え、ろくに口さえきいてくれない時期が訪れる。それを淋しいと思いつつも我慢するのか、機嫌をとるために甘やかすのか、生意気な態度に声を荒らげてしまうのか、対応はさまざまだろう。ここで母親とうまくやっていればとりあえず自分はいい、たとえ娘との関係がうまくいかなくなっても、母親がフォローしておけば大丈夫、しょせん父親の存在は薄いものと思ったら大きな誤算である。

私が、大学院に入学して最初に行った研究は「娘からみた父親の魅力」であった。以来、ごくありふれた日常生活の中にある疑問に注目し、それを心理学の手法によって解明する研究を続けている。

発達心理学では、幼い頃からの父親の娘に対する態度や言葉は、娘の成長に大きな影響を与えると言われている。娘の成長にとって何が本当に必要なのかを理解し、要所、要所で適切な対応をとることができれば、それは娘が将来、自らの人生を切り開いていくための力を育むことにつながるのだ。

では、年齢別に対応のポイントを紹介しよう。

6歳までの乳児期および幼児期、特に3歳頃までは、娘との愛着関係を築くうえで大事な時期だ。愛着関係とは、母親、父親など特定の人との間に築かれる絆、信頼感で、幼いころにしっかりと愛情を注がれた子どもには、「私は愛されている」「私は大事にされている」という安心感が生まれ、他者との関係も上手に築いていくことができるようになる。

かつて心理学において親子関係は、母子関係を中心に研究され、父親は忘れられた存在だった。それが80年代になり、男女平等主義が世界的に広がる中で、父親との関係も母親同様に重要であることがわかった。

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