娘とうまくいかない父親に共通する思い込み 母親まかせはNG、成長に合わせた接し方を

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日常の時間のほとんどを母親と過ごす娘は、幼児期であっても初めて接する異性である父親は特別な存在だということに気づいている。つまり父親からかけられる言葉には敏感だ。この時期には、とにかくたくさん褒めて自信を持たせよう。そうすることで自分が価値のある人間だと感じる自尊感情が育つ。自尊感情が高くなると、低い人に比べて情緒が安定し、社会的な適応能力が強いと報告されている。

ママのお手伝いをしていたら「ママもパパもうれしいよ」、ピアノが上手になったら「○○ちゃんのピアノを聴くとパパはほっとするよ」、日常の小さな場面でも「もうそんなこともできるんだ!」「パパより上手だなぁ」と、自分でできるようなったことを見つけて褒める。

一緒に遊べるのは週末だけでも大丈夫。娘との遊びは量より質が大切である。特別なところへ連れていかなくても近くの公園でいいのだ。空の雲の形について話す、一緒にしゃがんで蟻を見つける、伸び伸びと身体を動かすなど、普段は室内で、同性同士で遊ぶことが多い娘に思い切り外の世界を見せてあげよう。特別な存在である父親を通して知る外の世界は、娘にとっても特別な世界として映り、心に好奇心の種がまかれ、将来、自分の好きなものを見つける手助けになる。

小学生の前半、少しずつ親から自立し始める。この時期の大問題が「“一緒にお風呂”の卒業はいつか?」ということだろう。ある晩、娘から「1人でお風呂に入る」と言われたら、「そうか。もう1人で入れるんだね」と、潔く即答しよう。間違っても「今日は一緒に入ろうよ」などと言ってはいけない。

父親が育む娘の「さわやかな自己主張」

娘は自分が女性であり、父親は異性であることをはっきり意識したのだ。以後、突然抱きしめる、不用意に身体を触ることなどは慎み、この日から、父親は静かに娘の成長を見守り、観察していこう。

小学生の後半は、より自我が強くなり、自己主張をするようになる。娘が意見(らしいこと)を言ってきたら、まずは聞こう。いきなり否定すると、親とぶつかりたくない、面倒なことになるくらいなら親の意見に従っておくほうが楽だと感じ、自己主張することを諦めてしまう。

それは将来、自分で考え、選び、決断する力を養う機会を失うということだ。指示待ち人間になる可能性もある。意見を聞き、そこで間違いや思い違いがあれば冷静な態度で正し、叱る必要があれば叱る。

相手に不快な思いをさせずに自分の考えや気持ちを表現することを「さわやかな自己主張(アサーション)」といい、発達心理学では、この力を育むことができるのは父親だと言われている。娘は自分に対する父親の冷静な態度を見て、社会で必要なスキルを自然に学んでいくことができるのだ。

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