東大生厳選、冬休みに読みたい「分厚い本」3冊 手強い大著も「読み方」次第ですっきりわかる
最後の1冊は、特に「読み方」を工夫しないと身にならないかもしれません。
『DEATH』は「考えるきっかけ」に
本というのは、何かを教えてくれるものである必要はなくて、何かを考えるきっかけをくれるものであってもいいと思っています。この『DEATH 「死」とは何か?』(384ページ)がくれるのは「死」について考えるきっかけです。
「たいていの人は、どうしても死について考えたくない」とこの本では語られているのですが、確かに私たちは本でも読まない限り、「死」についてじっくり考え直すということをしないと思います。
この本では一貫して「死をただ恐れるだけなのは間違っている」ということが語られ、死に対する考え方、死と向き合ううえで必要になってくる知識を深く深く教えてくれます。
しかし、どれも「答え」を提示してくれているわけではありません。「死とはこういうものなんです!」という1つの回答ではなく、「死」についての謎を考え、1人ひとりが答えを出すきっかけを与えてくれるのがこの本なのです。
■『DEATH』は自己検証のために読む
だからこそこの本は、「自己検証」のために読むのがオススメです。
読む前に一度、「死」についての自分の考え方を振り返ってみる。最近行ったお葬式の様子を思い出してみたり、あと何年自分は生きるのかということを考えてみたり。年末年始という心機一転のタイミングで自分の中で「死」について問い直してみたうえで、この本を読むのです。
そうすると、自分の中で考えが甘い部分もあれば、自分の信念が正しかった部分も出てくるはずです。そんなふうに、自分の中の「死」に対する答えを検証するために、この本を読んでみてください。
なんの考えもなく、なんの目的もなく本を読んでしまうと、実は得られるものは少ないです。本に書いてあることをただ受け入れて、「そうなんだー」を繰り返しても、頭には残りません。
自分の中できちんと考えを持ったうえで、それを検証するように読む。そうすると、自然と自分の中で疑問が生まれたり、自分の中で深く腹落ちする部分ができてくるのです。
「読書」=「インプット」だと考えている人も多いと思いますが、実は読書はアウトプットの手段にもなるのです。自分の意見を本にぶつけてみて議論したり、自分の考えを検証してみたり。そういう双方向的な読書によってこそ、得られるものは多くなるのです。
この『DEATH』は、まさに「自分の死に対する信念」を検証するために読むのに最適な1冊なのです。
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