地方銀行買収やリテール再開の可能性はない 米金融大手シティグループ日本代表に聞く

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――日本の金融機関でも起きていますが、優秀な学生はウォールストリートの大手金融機関ではなく、テクノロジー企業へ行きたがると聞きます。シティはどんな人事戦略を持っているのでしょうか。

おっしゃるとおり。ただ、優秀な大学卒業者がグーグルやアマゾンといったIT大手に行きたがるという現象は、今に始まった話ではない。以前は起業が流行したし、プライベートエクイティやヘッジファンド、コンサルティング会社の人気があった時期もあった。トレンドはつねにあり、5年後、どうなっているかわからない。

「巨大化したシャドーバンクで何かが起きると、大きなショックのきっかけになる」(撮影:梅谷秀司)

よくそういう質問を受けるが、私はまったく心配していない。シティのニューヨークのオフィスで、フルタイムの600のポジションの募集に対し、6万のレジュメが毎年送られてくる。ただ、私どものビジネスで必要とされるスキルセットの種類は少し変わってきている。たとえば、トレーディングの世界でコンピューターサイエンスの知識が必要になっている。

シャドーバンク発危機に警戒感

――リーマンショック後、10年近く景気拡大が続いています。いずれ別の形のショックや深刻な景気後退がやってくると思いますが、次のショックはどのような姿でやってくると思いますか。

すべてはサイクルなので、おそらくそういうショックはいつか起こると思う。ただ、次にショックが起きても、おそらくそのインパクトは前回ほどではないだろう。それは、10年前と比べ、銀行の状況が大きく改善しているからだ。

リーマンショック後にドット・フランク法の規制が導入され、銀行はリスクの高いビジネスができなくなった。バランスシートのレバレッジを大幅にかけることもできなくなった。資本も相当積むことが求められ、ショックには十分耐えられる状況ができている。

では、何が源泉になって危機が起きるかだが、1つはサイバー攻撃。2つ目は各国中央銀行が行っている量的緩和が解消されるときだ。世の中にただの食事はない、というように、必ず量的緩和のツケはある。いま起きている、その1つの現象が、多くのマネーが行き場を失い、株式市場に流れ込んで、株式のバリエーションが高くなっていることだ。

3つ目がシャドーバンキング。規制がされていないが、非常に巨大化している。ここで何かが起きると、それが何か大きなショックのきっかけになると思う。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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