地方銀行買収やリテール再開の可能性はない 米金融大手シティグループ日本代表に聞く

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――シティグループのデジタル戦略として、どのくらいの金額を投じているのですか。また、その成果は上がっているのでしょうか。

総額でテクノロジー関連の投資額は年間80億ドルくらいある。これは今後も変わらないと思うが、総経費の2割程度だ。それとは別に、シティベンチャーズという組織があり、サンフランシスコに拠点を設けている。金融サービスセクターで新しく台頭してきているテクノロジー企業を研究し、多くの場合、出資もしている。

目的は必ずしも利益をあげるということではなく、どんなテクノロジーが起きており、社内で使える可能性があるのか、検討することだ。イスラエルが中心だが、テクノロジーラボを設け、インキュベーター的な活動もしている。

他社のシェアを奪う必要がある

――日本代表の就任から5カ月が経ちました。そもそもどんなミッションを持って、代表に就任されたのでしょうか。

日本におけるビジネスは好調だが、まだ日本におけるシティのビジネスは拡大できる。上司から「この数字はアグレッシブすぎるのではないか」と言われるほど、かなりアグレッシブな目標を立てた。

「アグレッシブすぎる、と言われるほどアグレッシブな目標を立てた」とウェイト氏(撮影:梅谷秀司)

ただ、グローバルでもそうだが、日本でもレベニュープール(獲得しうる収益増額)自体がここ数年間、伸びていない。株式はほぼフラット(横ばい)。債券に関してはここ数年、パイ自体が減っている。私が言うアグレッシブな目標を達成するには、他社のシェアを奪う必要がある。

――具体的にどの程度の数値目標を掲げているのでしょう。

これまで日本のビジネスは2ケタの伸びを記録してきた。売り上げの伸びだけでなく、経費も削減したので、EBITDAマージンが過去4年間、伸びている。目標としてもこの道筋を今後も継続する。

私どもはいろいろなビジネスラインを持っているが、1~3位でない、圏外のビジネスもたくさんある。たとえば、現在5位のビジネスを4位に上げたら、どのくらいのレベニューになるか、という分析をすべての部門で行うと、だいたい1億ドル、売り上げが増える計算になる。順位を1つ上げるだけで、これだけの数字になるので、これはかなり現実的なターゲットだと思う。

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