3メガバンク「本業が儲からない」という憂鬱 2万人を超える人員削減は危機の前触れか

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銀行界にいったい何が起きているのか(撮影:尾形 文繁)

みずほフィナンシャルグループ1万9000人、三菱UFJフィナンシャル・グループ6000人、三井住友フィナンシャルグループ1000人――。

この数字は、3メガバンクグループがそれぞれ計画している人員削減の数字だ。いずれも希望退職を募るような「リストラ」ではなく、採用と退職の人数を調整し、3年から10年かけて実施するものだが、各社ともその規模は小さくない。

いまの日本は、1990年代後半から2000年代前半にかけて起きた不良債権問題や2008年のリーマンショックのような緊急事態に見舞われているわけではない。いわば平時でありながら、3メガバンクで2万人を超えるほどの人員削減に踏み切らざるをえないのだ。

『週刊東洋経済』は5月28日発売号(6月2日号)で「銀行員の不安」を特集。銀行員のキャリアの変化やメガバンクの経営戦略、地銀再編の行方などを追っている。

異次元金融緩和と異様な低金利で儲からない

銀行界にいったい何が起きているのだろうか。

『週刊東洋経済』5月28日発売号(6月2日号)の特集は「銀行員の不安」です。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

一言で言うと、銀行というビジネスが儲からなくなっている。原因の1つは、異次元の金融緩和によって異様な低金利が続いていること。銀行の本業は預金で集めた資金を企業や個人に貸し出すことで成り立っている。運用と調達の金利差である「利ザヤ」が大きいほど利益は厚いが、低金利に加え、カネ余りや銀行同士の競争が激化し、利ザヤが下げ止まらない。

マクロの資金循環をみると、企業や家計は長年、カネ余り状態が続いている。高度成長期は企業が銀行に頭を下げて資金を借りていたが、今はその関係が完全に逆転している。日本銀行の調べによると、日本は欧米諸国と比べて、可住面積あたりの銀行店舗数の多い「オーバーキャパシティ」状態にある。需要と供給のバランスでいうと、銀行業は完全に供給超過にある。

冒頭の人員削減の数字は、炭鉱のカナリアならぬ、銀行界に迫り来る危機を告げる前触れなのかもしれない。

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