3メガバンク「本業が儲からない」という憂鬱

2万人を超える人員削減は危機の前触れか

規制の観点でみても、メガバンクグループの経営は転機を迎えている。

昨年12月、最新の自己資本比率規制である「バーゼルⅢ」の最終化が決まった。規制をクリアするためにどの程度の資本が必要になるかがはっきりしたことで、自己資本の範囲でどこまでリスクを取ることができるのかも見えてきた。

三菱UFJの平野社長は「資本の制約を前提にした事業運営をしようとしている。したがって、リスクアセットはこれまでのようには増やさない」と明言している。株主還元と成長投資、財務の健全性という資本政策における3つの要請のバランスをとった経営に、よりシフトしていく。規模から資産の効率性を重視した経営へ、メガバンクの経営は新たな段階に入っている。

象徴的なのは三井住友だ。2018年5月からグループ創設以来、株主還元という文脈では初めての自社株買いを実施している。その規模(上限)は700億円。2017年度に子会社だった関西アーバン銀行とみなと銀行をそれぞれ持分法適用会社化し、今年11月には傘下のリース会社(三井住友ファイナンス&リース)も同様に持分法適用会社化。このことで自己資本比率は合計0.7%ほど改善する。

それが今回の自社株買いにつながったといえるが、仮に成長投資に踏み切るにしても、目標とする「ROEで8%以上」という基準に見合った投資対象がどこまで出てくるか、課題は残る。

みずほは財務の健全生確保も課題

この点、みずほは三菱UFJや三井住友の後塵を拝していることは否めない。バーゼルⅢ最終化を加味した自己資本比率は8%台前半の見込み。8%の規制水準をクリアしているとはいえ、連結配当性向の方針も「30%程度」と、40%台の株主還元を掲げる三菱UFJや三井住友と比べて低い。みずほの場合、まずは財務の健全性が優先しそうだ。

メガバンクの株価は冴えない。三菱UFJは5月の決算発表時に中期経営計画を公表し、2017年度1兆2500億円の営業純益を2020年度までに1兆5000億円に伸ばす成長戦略を打ち出した。ただ、株価は、737円をつけ、いったんは反発したが、その後は700円割れで推移している。「銀行株は成長株ではなく、成熟企業の株価とみられている」(銀行のIR担当者)。

メガバンクは「デフレ経済の象徴」という市場の評価を突破できるか。1つのカギはおそらくフィンテックだが、それをうまく取り込めなければ、銀行株の評価を変えることはできない。

『週刊東洋経済』6月2日号(5月28日発売)の特集は「銀行員の不安」です。
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