受験目前、親が子どものためにやるべきこと 「模試」の結果に一喜一憂するのはNG

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受け止めるだけでいいのです。訴えてくる気持ちにアドバイスの必要はありません。人は、気持ちを言葉にして誰かに話すという行為自体で、カタルシス効果(心の浄化作用)を得られます。気持ちという目に見えないものを誰かに伝えるときに、自分の思いをわかってもらえるよう、状況やそのときの思いを言葉に変換します。そのプロセスが自分の気持ちを整理させることにつながるのです。

気持ちの整理ができるまで、同じことを繰り返すかもしれません。でも、否定せずに忍耐強く関わってください。子ども自身、気持ちの整理ができれば、おのずからまた取り組もうと思えるものなのです。

親としてこうしてほしいという欲求が出てくると、よかれと思ってアドバイスをしてしまいがちになりますが、ありのままの状態を共有するようにしてください。

特に「できなかった」というマイナス感情は、努力と成長の刺激になるので、おおらかに捉えてください。

依存関係を強めず自己成長を促すには

アドバイスをしないようにという理由は、依存関係を作ってしまいやすくなるからです。そもそも親子関係は依存関係ではありますが、より強めることは避けてください。

子どもの思いに対してアドバイスしようとすると「よい、悪い、根拠のない大丈夫」というスタンスで物事を伝えやすくなります。「○○すればいい」「△△はダメだ」「気にしなくて大丈夫」などは非常に高圧的で上下関係を強める言い方で、こういった関わりを評価的態度と呼びます。

相手を認めて信頼する共感の姿勢とは相反するもので、自己成長を阻害する関わりなのです。上下関係は、支配関係を作ります。支配関係は依存関係を作り、依存は攻撃を生みます。相手への依存度が強いと、自分を見失い、物事を自分のこととして捉えることができなくなります。

すると、何かあったときに「お父さん(お母さん)のせいだ」と責任転嫁する気持ちを育ててしまうのです。ですから、操作や支配ではなく、信頼して支援することが望まれます。対等な関係は自己成長を促します。子どもの状態そのもの受け止め、よくても悪くても子どもの気持ちのそばにいることが大切です。

ちなみに模試の結果は、目安として参考程度にとどめ、どこができなかったのかを復習する機会と捉えることが大切です。受けっぱなしでは意味がありません。誰しも間違うところは「いつも同じパターン」ということが多く、間違えたところは、また間違える可能性が高いので、あいまいな知識を明確にしたり、間違えないように繰り返し復習する必要があります。新しい問題に取り掛かるより、ずっと効率よく有効な方法です。

模試の結果に、「満足よ(不満よ)」という評価ではなく、一生懸命に取り込んだこと(頑張っていること)を認める関わりをしていただけたらと思います。

親子ともども健やかに受験シーズンを乗り切れますように――。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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