季節柄、クリスマスの話題には事欠かない。やや無理筋ということを承知しつつ、サンタクロース村があるフィンランドの教育を取り上げてみたい。
学費は小中高大すべて無料。学習塾は存在しない。教員は皆、大学院卒(修士課程修了)。高校では教科書やノートパソコンは家庭が負担するが、給食費も無料。日本では考えられないほど、子どもを取り巻く環境が充実している。無論、税金も高いわけだが。
フィンランドの教育の大前提。それは、どんなバックグラウンドの子どもでも等しく質の高い教育が受けられるということだ。本人の適性が何らかの形で人生を選択できるようにしていくことが、教育の役割だと考えられている。いわゆる落ちこぼれやドロップアウトをする子どもを出さないことが国益に叶っているとも認識されている。
こうした目的のために、フィンランドはどのような教育を行っているのか。ということで今回は、日本とフィンランドの教育の違いをどんどん挙げ、日本を再興するヒントを探りたい。
フィンランドの教育現場はランキングを気にしない
1つ目は「ランキング」である。
日本では、学校の格付けがしょっちゅう話題になる。やれ◯◯県が学力テストでトップだの、◯◯校の東大進学者数が何人だの、とにかくランキングが大好きなようである。果ては教員までもが、生徒がどれだけ有名校へ進学したかで競い合う学校もある始末である。偏差値の高いとされる難関校に子どもを入学させただけで、その子の親が世間の注目を浴びることもある。
他方、フィンランドの教育現場では、格付けは最も避けたいことのようである。学校のランキングを出すための一斉学力テストはない。テストの目的は先生が児童生徒の理解度を知るためとされている。日本の教育現場では金科玉条のごとく重視されるPISA(経済協力開発機構=OECD=による国際的な学習到達度調査)のランキングも現場の先生はほぼ気にしていないという。
実際には、年5回も試験週間がある高校も存在し、小学校においてもテスト自体は週単位でしょっちゅうある。ただ、それらはあくまで児童生徒の理解度を生徒自身や教員が知る手立てでしかない。それ自体が意味を持つわけではない。フィンランドの教員たちは、個々の児童がそれぞれの目的に叶うスキルとは何かをつねにみているからである。
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