ティップネス、あえて24時間ジム出す危機感

24時間ジム旋風で変わるフィットネス業界②

ティップネスは総合フィットネスクラブ大手でありながら、競合する24時間ジム業態の出店にも力を注ぐ。写真は都内のティップネス大型店(記者撮影)
「24時間年中無休」「マシンに特化」「割安な月会費」ーー。全米で大成功した新業態の小型24時間ジム「エニタイムフィットネス」が、日本に上陸して今年で8年。その人気ぶりを見て、異業種を含めた新規参入組も相次ぎ、全国各地で24時間ジムの出店ラッシュが起きている。
こうした新業態の台頭により、厳しい立場に立たされているのが伝統的な大型総合フィットネスクラブ(スポーツクラブ)だ。会員の高齢化が進む中、20~40代の会員獲得が課題だったが、そうした若い世代が安くて便利な24時間ジムに流れている。
総合型の各社は危機感を強めており、セントラルスポーツやティップネスは自身も小型の24時間ジム業態に参入。特にティップネスはいち早く24時間業態「FASTGYM24」の本格出店に乗り出し、直営方式で東京23区内を中心に100店近くにまで店舗数を増やした。24時間ジム業態では、エニタイム(10月末で全国420店)、JOYFIT24(同198店)に次ぐ店舗数だ。
総合型大手のティップネスが競合する24時間ジムの出店に注力する背景には、どんな経営判断があったのか。そしてまた、柱の総合型フィットネスクラブを取り巻く事業環境をどう認識しているのかーー。
東洋経済では大きな転換期にあるフィットネス業界のキーマン2人にインタビュー。2回目は、ティップネスで経営戦略を担当する小宮克巳取締役に聞いた。

自社の24時間ジムで大都市の地盤守る

ーー総合型フィットネスクラブ大手のティップネスがなぜ、競合する24時間ジム業態に参入したのですか。

理由は大きく2つある。まず、マシンに特化したセルフ型24時間ジムは事業として非常に収益性が高く、そのビジネスモデル自体に魅力を感じた。初期投資やランニングコストが軽いうえ、これまで経済的、時間的な制約から総合型には来ていなかった若い人たち、ビジネスマンを取り込める。だいたい4年以内で初期投資が全額回収でき、投資効率も非常に高い。

もう1つの理由は危機感だ。当社が運営する総合フィットネスクラブ「ティップネス」(61店舗)は、東京を始めとする大都市が地盤だが、24時間ジムもそうした人口の多いエリアから急増し始めた。手をこまぬいていては地盤が侵食されてしまう。防衛策として自分たちでもこの業態をやるべきだと判断した。

ーー社内に反対意見もあったのでは?

あったどころか、最初に企画書を出したときにはみんな大反対で、役員会でも却下された。ティップネス店舗への悪影響をおそれたのと、24時間ジムに対する一種の嫌悪感みたいなものが社内にあった。ティップネスは専門スタッフによるトレーニング指導を非常に大事にしてきた会社。「マシンだけ置いて、しかも営業時間の3分の2が無人営業のジムなんて、フィットネスクラブと言えるのか?」と。

それでも「やりましょう」「やりましょう」と1年半しつこく言い続けたら、マネジメント層が根負けして、「テストマーケティングとして最大3店まで」という条件付きでOKが出た。その1号店が2014年に開業した豊島区の要町店。開業前に損益分岐点を超えるすごい数の会員が集まり、それで一気に風向きが変わった。

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