ティップネス、あえて24時間ジム出す危機感 24時間ジム旋風で変わるフィットネス業界②

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ーー会員構成やジムの利用の仕方に特徴はありますか。

ティップネスは会員の年代層が幅広いのに対して、FASTGYM24は20~40代が大半で、入会者の約半数が初めてスポーツクラブに通う人。店舗から徒歩圏内に住んでいて、自宅で運動着に着替えてからジムに来る人が多い。それで運動が終わったら、家が近いのでジムのシャワーは使わずすぐに帰宅する。総合型ではありえなかった利用パターンで、平均滞在時間が総合型より非常に短い。

ティップネスの近くにも出店

ーーFASTGYM24は店舗の大半が東京23区内に集中しています。

そもそもティップネス自体が大都市を地盤としてきた。また、この24時間ジムは若い世代と非常に相性のいい業態なので、立地として大都市が適している。エニタイムさんはどんどん地方にも出し始めているが、当社は今後も直営で東京とその周辺への出店を基本戦略とする。

ーー自社の総合型店舗とカニバリを起こすのでは?

ティップネスが運営する小型24時間業態の「FASTGYM24」。都内を中心に100店近くにまで増えた。(記者撮影)

当初は自社内競合しないよう、ティップネスと近い場所への出店は意図的に避けていた。ティップネスの営業からも、そうした要請が強かった。しかし、自分たちが出さなくても、ほかの24時間ジムがどんどん近くに新店をぶつけてくる。だったら、守りを固める意味でも自分たちでティップネスの周辺を押さえたほうがいい。そういう考え方に社内も変わってきた。

11月に開業した氷川台(東京練馬区)と喜多見(同世田谷区)のFASTGYM24は、いずれもティップネス店舗から徒歩数分の場所にある。今後もいいテナント物件があれば、多少の自社内競合はいとわずにFASTGYM24を出していく。

ーー24時間ジムの大手3社だけを見ても、すでに都内の店舗数が300を超えています。出店余地はまだありますか。

大きな総合型店舗と違って、小型の24時間ジムは小さな商圏でも成立する。大都市なら私鉄の1駅に1店は成立しうる業態だ。スタートした4年前に比べて確かに首都圏でいい立地は減ったが、携帯販売店やコンビニなどが撤退して、急に駅前の100坪の床が空くこともある。つねに物件情報にアンテナを張り、いい場所が見つかったら積極的に出していく。 

ーー総合型の現状について聞かせてください。ティップネスを含め、最近は首都圏で大型の総合フィットネスクラブの新規出店が途絶えています。

いちばんの理由は不動産価格と建築費が高騰し、新店を出しても採算が合わないからだ。都内でプール併設の大きな施設を出店しようと思ったら、以前でも総工費で10億円はかかったが、今なら15億円ぐらいかかる。実際に建物にお金を出すのは不動産オーナーだが、当然のごとく、かかった費用は賃料に反映される。総合型は24時間ジムのような利益率の高い業態ではないので、今みたいな高い賃料前提では新規の出店が難しい。

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