年俸額でみたプロ野球「最強球団」はどこだ! ソフトバンクが断トツ、「金満」巨人は2位に

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球界最低水準を争う形になっているのが、日本ハム、ロッテ、中日の3球団だ。日本ハムは広島同様、育成重視の自前主義。独自の評価システムを使い、年俸の安い若手を積極的に起用する。過去には糸井嘉男選手や谷元圭介選手をトレードに出し、FA宣言した陽岱鋼選手、増井浩俊選手を引き留めることもなく、そして今回はレアード選手を自由契約にするなど、チームの顔と言えるような選手でも次々と手放す、ドライな方針を貫いている。

日本ハムは2017年オフに年俸2億7000万円の大谷翔平選手をメジャーへ送り出し、最下位争いに参戦する形になった。今オフは金子選手を獲得したが、年俸はオリックス時代の3分の1以下の1億5000万円。台湾球界から獲得した4割バッター、王柏融選手も3年4億円で1年あたりは1億3000万円。すでにアルシア(1億3000万円)、トンキン(1億2000万円)の外国人2選手の退団が決まっており、自由契約のレアード選手(2億5000万円)の退団も決まれば、合計5億円減るので差引2億2000万円の負担減。最下位もあり得る。

ロッテは高額選手の退団がない一方で、今のところツインズ傘下の3Aレッドウィングスからバルガス選手(1億6500万円)を獲得したくらいで、大きな変動はなさそう。

中日は最下位争いの常連組に

中日は2013年シーズンまでは巨人に次いで年俸水準が高い球団だったが、主力選手の苛烈な大幅年俸ダウンと、井端弘和選手(当時)への戦力外通告に等しい年俸提示に代表されるように、2013年オフに大リストラを実施して以降、最下位争いの常連になっている。

今シーズン限りで岩瀬仁紀、荒木雅博、浅尾拓也といった大物選手が揃って引退したが、いずれも既に年俸は数千万円に引き下げられていたので、引退による年俸減効果は大きくない。今のところ大型補強の話は聞こえてこず、低位安定が続く可能性がある。

FA宣言をした選手の去就が決まり、海外からの大物獲得も12月中旬でほぼ一段落する。選手の“人事”は球団の編成担当が担う。最小の投資額で最大の成果を出すのはどの球団か。編成担当の巧拙という視点でプロ野球を眺めてみるのも一興だろう。

伊藤 歩 金融ジャーナリスト

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いとう・あゆみ / Ayumi Ito

1962年神奈川県生まれ。ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計だが、球団経営、興行の視点からプロ野球の記事も執筆。著書は『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる』(星海社新書)、『TOB阻止完全対策マニュアル』(ZAITEN Books)、『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。

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