なぜ歯科医は「親知らず」の抜歯を勧めるのか

意外と知らない基本中の基本

親知らずが適正に生えてきた場合は役に立つのですが、多くの場合、そううまく生えてきてくれません(写真:metamorworks / PIXTA)
永久歯の奥歯の中で最後に生えてくるのが親知らず。「役に立たない」「抜いたほうがいい」などいわれますが、実際、どうなのでしょうか? いざ、抜くとなると大がかりな処置が必要になりそうですが、かかりつけの歯科医院にお願いして大丈夫なのでしょうか? テレビなどでおなじみの歯周病専門医、若林健史歯科医師に疑問をぶつけてみました。

親知らずは、奥歯の一番奥に生えてくる第3大臼歯(3番目の臼歯)のこと。すべて生えると上下で4本になります。

当記事は、AERA dot.の提供記事です

他の永久歯はすべて15歳前後までに生えてきますが、親知らずだけは10代後半から20代前半くらいに生えてくるため、「親に知られずに生えてくる」という意味で「親知らず」といわれています。別名「智歯(ちし)」ともいわれ、英語では「wisdom tooth」という名称がつけられています。

さて、まず、親知らずが「役にたたない歯」というのは間違いです。健康な歯と同じように適正に生えてきた場合、奥歯が増えるわけですから、そのぶん、よくかめるということになります。

適正に生えている親知らずには、ほかにも利用価値があります。例えば隣の歯が歯周病などで失われた場合、その代わりになります。移植(むし歯や歯周病などで失ったところに、違う歯を移し入れる方法)したり、矯正治療で移動させたりできるからです。また、失われた部分にブリッジをする場合、土台になる歯(支台歯)として使うことも可能です。

むし歯や歯周病のリスクが高い親知らず

問題となるのは、歯が傾斜したり、横向きに生えていたりという正常な生え方をしていない親知らずです。こうした人はけっこう多いのですが、なかでも中途半端な形で、歯の一部だけが顔を出してしまっているタイプはやっかいです。

歯の周囲を歯肉が取り囲んでいるために、食べかすが歯と歯肉の間に入り込みやすく、この部分は歯ブラシではなかなか清掃ができません。歯冠(歯の表面)が十分に出ていないので歯と歯の間にフロスを入れることも難しく、この結果、プラークや歯石がたまり、むし歯や歯周病になりやすいのです。

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