悩めるガリバー・野村証券に「生みの苦しみ」 大幅減益でも「売上目標なし営業職」を拡大

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これを顧客年齢別の切り口で見てみると、どうなるか。

貯蓄全体の33%を70代以上、65%を60代以上が保有し、有価証券では41%を70代以上が、76%を60代以上が保有するのが、日本の家計金融資産の構造だ。より多くの資産にアクセスしていくには、大手対面証券が得意とする高齢者層との接点をより深くすることが重要になる。

それだけではない。高齢の顧客が保有する資産はいずれ、贈与や相続で次世代の家族に引き継がれていく。その際、子ども世代につく他の金融機関に贈与・相続資産を引き抜かれることは避けたい。贈与や相続を受ける子ども世代とも関係を作っておく必要がある。

慶応大と金融ジェロントロジー研究

ざっと言えば、ハートフルパートナーが登場した背景は以上のようなものだが、高齢者からの信頼を勝ち得るために、短期的な収益は追わず、資産設計や資産承継、住まいなどの相談相手に徹し、顧客に寄り添うことに専念する点が特徴的だ。

これが単なるうわべだけではないことは、野村ホールディングスが慶応義塾大学と提携し、業界に先駆けて「金融ジェロントロジー」(金融老年学)の知見をハートフルパートナーに応用していることからもわかる。

次ページ金融ジェロントロジーとは
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事