日本史は「大陸vs海」で読むと最高に面白い 世界と日本はこうしてつなげて見る

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この結果、チュニジアの民主化に端を発した「アラブの春」という名の大混乱が起こり、難民が怒濤のように流れ込んだ欧州諸国では、フランスの国民戦線のように移民制限を唱えるナショナリスト政党が躍進し、イギリスは国民投票でEU(欧州連合)を離脱しました。その一方、自動車などの輸出産業が好調なドイツは、安価な労働力としての移民受け入れに積極的で、そのような財界の意向も鑑みたメルケル政権は、移民排斥と保護主義に強硬に反対してきたのです。

「ランドパワー」を継承した鎌倉・江戸幕府

それでは日本はどうか? アベノミクスという経済政策で「失われた20年」ともいわれたデフレ不況から脱却を図る安倍政権は、安定した支持を得て長期政権の記録を更新しつつあります。しかしその政策はといえば、アメリカのトランプ政権の「右旋回」に理解を示しつつ、「美しい国」を掲げた第一次内閣のナショナリスト的な性格を封印し、アメリカ抜きのTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)イレブン調印、外国人の単純労働力受け入れなどのグローバリスト的政策を打ち出し、ぬえ的性格になってきました。

政治的な現象と、それが生じた地理的条件との関係を研究する「地政学」という学問では、ヨーロッパ、アフリカ、アジア……という世界の区分を行いません。ユーラシア大陸の内陸部を拠点とする「ランドパワー(大陸勢力)」と、ユーラシア大陸外縁部と海洋国家の「シーパワー(海上勢力)」とにそれを分類します。

ロシアや中国は典型的な「ランドパワー」であり、強力な陸軍をもち、農業や鉱工業を基幹産業とします。国境を接する隣国から国土を守り、隙あらば膨張を試みます。このため、彼らは周辺諸国との緊張を抱えることが常となり、出入国管理に厳格で、ナショナリスト的傾向が強くなります。

その一方、イギリスやアメリカは典型的な「シーパワー」であり、強力な海軍をもち、通商や金融でGDP(国内総生産)を稼いでいます。通商で儲けるためには、世界の海を自由に航行でき、関税などの障壁がないほうがよいわけで、従ってグローバリスト的傾向が強いわけです。1つ付け加えておくと、東海岸と西海岸(カリフォルニア)を拠点としているアメリカのグローバリストとは違って、中西部に住む「草の根保守」の市民たちは完全なナショナリストです。トランプ政権を支えているのは、いうまでもなくこの地域です。

日本は島国ですので、基本的には「シーパワー」です。それが証拠に平安時代から中国宋王朝との大規模な通商が始まり、中国の銅銭(宋銭・明銭)が日本の通貨として流通していました。戦国時代には日本の商船が東南アジア各地に寄港し、複雑な商業ネットワークを構築してきました。

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